HOME > レビュー > 『ジャングル・ブック』を3D字幕版+ドルビーアトモスで観賞。この、音彩の妙味をしゃぶり尽くしたい!
2016年9月17日/堀切日出晴
ディズニー実写版『ジャングル・ブック』は、2016年サマー・ムービーのマイ・フェイバリットだ。映画館や海外盤BDで楽しんできた作品だが、念願叶ってドルビーアトモス・サウンドトラック版を劇場鑑賞することが出来た(ドルビージャパンによる、TOHOシネマズ日本橋の特別試写会に参加)。
もともとサウンドデザインが卓越しているため(※)、劇場上映やブルーレイでも極上の音響空間が披露されていたが、ドルビーアトモスによるイマーシブ・シネソニックは格別。上半球360度にはオブジェクトがアクティブに配置され、インタラクティブな効果をCG映像にもたらしている。ドルビーアトモス作品の最高峰と賞賛したい出来映えだ。
ジャングルという美味しい舞台設定のため、開幕から魅力の音彩が全開。シームレスで濃密な環境音のなかに息づく、あらゆる生き物の鳴き声、さえずりに驚かされる。ジョン・デブニーによるスコアの存在感も凄い。
雨季の描写(12分43秒〜)、水牛の暴走(19分22秒〜)、蜂の飛翔音(38分14秒〜)、象の咆哮(53分29秒〜)、『地獄の黙示録』のカーツ大佐を彷彿させる巨大猿キング・ルーイの声の響き(64分21秒〜)、廃墟の寺院やクライマックス(72分20秒〜、80分50秒〜)のアクション・サウンド操演などなど、聴きどころ満載だ。とりわけ頭上を自由自在に動き回る大蛇カーの発声(29分44秒〜)は、『トランセンデンス』(電脳化したジョニー・デップの声)以上のアトモス・パフォーマンスである。
残念ながらブルーレイ音声仕様はDTS-HDマスターオーディオ7.1ch仕様。ドルビーサラウンド、DTS Neural:X再生の特薦盤ではあるが、ドルビーアトモス再生の素晴らしさを知ってしまった今、もはや後戻りが出来そうもない。
この音彩の妙味をしゃぶり尽くすには、UHDブルーレイの登場を待つしかない現状である。家庭劇場での期待は膨らむ一方だが、映画館においても極上ドルビーアトモス鑑賞の機会がさらに増えることを期待したい。
(※)サウンドデザイン、音響編集監修、リレコーディングは、スカイウォーカー・サウンドの重鎮クリストファー・ボイズ。
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