祝・優勝!広島カープを愛しすぎて豆腐屋が崩壊寸前! 「広島カープ誕生物語」
「すごいのう、広島の野球きちがいは」
こんにちは、ファミスタではいつもCチームこと「カーズ」を使っていたJ君です。広島東洋カープが25年ぶりにセリーグ優勝の快挙ですね!ファンとして実に感慨深いものがあります。まあファミスタあがりのにわかファンですが。
J君のにわか広島ファン話は置いておいて、カープが優勝したこのタイミングでぜひご紹介しておきたいマンガがあります。むしろもうこのタイミングを逃すとこの先紹介する機会がないかもしれない。あまりにカープを愛しすぎて人生まで崩壊寸前になっている主人公を描く作品 「広島カープ誕生物語」
です。
「広島カープ誕生物語」
の作者は
中沢啓治先生。かの有名な
「はだしのゲン」の作者なのですが、熱狂的な広島カープファンとしても有名でした。その中沢先生の偏狭的なまでのカープ愛が本作品にはたんまりと盛り込まれており、正直カープファン以外は
ドン引きするレベルです。しかし愛とは尊いもの、愛とは尽くすもの、そんなメッセージが(カープ限定で)ビンビン伝わってくるのです。
WE LOVE カープ
「広島カープ誕生物語」
の主人公は、広島の原爆により両親を失いながらも野球を生きがいとして強く生きる、
大地進という14歳の少年です。この少年の目を通して、プロ野球団広島カープの発足、奇跡の初優勝を遂げ、戦後の広島が復興していく様子が描かれています。
両親のいない進少年は、大好きな野球で草野球チームを結成し、進駐軍と賭け野球をしては、缶詰やチョコレートをゲットし、売りさばいて生計を立てていました。なにしろ生活がかかっているから野球への執着心はハンパではありません。
超スパルタ
他の草野球メンバーに
めちゃくちゃ厳しい進。まあ生活かかってますからね。とにかく必死ですよ。そんな進と仲間たち、寝ても覚めても野球のことばかり考えています。彼らだけでなく広島という土地自体、非常に野球が盛んだったようです。プロ野球の興行が広島で行われた時はそれはもう大盛況です。
キチ●イだらけです
「すごいのう広島の野球きちがいは・・・超満員じゃ」
こんな進のセリフが当時の状況をよく表しています。しかし、そんな野球が盛んな土地柄にありながら、広島にプロ野球団がないことが市民たちの不満でした。
くやしいのう
「とにかく残念じゃ、広島にプロ野球団がないのは・・・」 「くやしいのう」
くやしいのう・・・この辺の表現は中沢節というか、
「はだしのゲン」スピリットが乗り移ってる感じですね。くやしいのう・・・くやしいのう・・・。
やったぜ広島!
しかし1950年、原爆被害からの復興を祈る広島市民の熱い気持ちが通じ、広島に念願のプロ野球団、
広島カープが発足することになります。ちなみに最初は
カープスと呼ばれていましたが、
文法的におかしいと指摘されて途中でカープになったのです。シュールですね。
複数形は不要
そんなわけで広島県民待望の広島カープだったのですが、プロ野球団として大きな問題がありました。
とにかく金がない。プロ野球団にあるまじきド貧乏具合だったのです。
ユニフォームが足りない・・・
ユニフォームが作れない選手がいたり、
ボールが高いので買えず、ほころびたボールを縫い直して使ったり・・・
プロなのになんでこんな目に
選手寮には
暖房がなくて震えながら火鉢に当たったり、
風呂がないので順番に水道で体を洗ったり、
米が食べれず腹を空かす毎日だったり・・・
プロ野球選手なのに
なんなのこの苦行?一般市民の方がよっぽどいい生活しています。当然ながら選手のモチベーションは低く、カープは負け続き。全く試合で勝てないセリーグのお荷物球団でした。
その頃、大地進少年はカープの応援に明け暮れる毎日でしたが、同じく大のカープ好きだった
豆腐屋のおっちゃんに気に入られ、
養子になることに。その豆腐屋には
光子というおっちゃんの娘がおり、進と光子は夫婦同然の生活となるのですが、進のカープ狂いが豆腐屋をピンチに陥れます。
せめておからにしとけよ
なんとカープが試合に勝つたびに
豆腐を無料に!優勝したらじゃないですよ?試合に勝つたびにです。意味がわかりません。そんな状況なのでお店は常に赤字でヒーヒー言っており、店を切り盛りしている光子はその度に進にブチ切れることになります。
そんな光子の気持ちをよそに、とどまるところを知らない進のカープ愛。
カープの悪口はNG
お好み焼き屋でカープの悪口をいう客と
ガチで喧嘩になったり
フーリガン化
審判の判定に納得いかずに球場のポールを引っこ抜いて
暴動を起こしたり
ついに屋号までカープに
しまいには店の名前を
「カープ豆腐店」に変えてしまいます。ここまでくるともはや宗教ですね。
進たち熱烈ファンのカープ愛がすごすぎて、
本業は大ピンチですが、球団の方へは次第に良い方向に向いていきます。
樽募金
貧乏すぎて解散寸前だった球団をなんとか助けようと、ファンたちが後援会を結成してカンパを開始。これがのちに
「樽募金」と言われる伝説のカンパです。
演歌のドサ回り的な
さらに、監督や選手たちも資金集めに奔走。地元の公民館で
選手が一曲歌って寄付を募ったり・・・とにかく市民と選手たちの血の滲むような努力により、貧乏球団を存続させることができたのです。
愛のキャッチボール
その頃、破局直前と思われていた進と光子は
愛のキャッチボールで仲直り。はじめはカープを嫌っていた光子もいつしか熱狂的カープファンとして取り込まれていきます。そして、ついに籍を入れた進と光子なのですが、カープファンの夫婦らしく、
結婚式はカープが優勝した年にするという誓いをたてます。
大丈夫なのか・・・
・・・ところがカープは相変わらずちっとも優勝する様子がありません。そして気がつけばいつの間にか2人は
42歳に。
だいぶ老けました
・・・もういいから、いい加減結婚式挙げてやれよ。カープの優勝に合わせるとか、そのこだわり、
別に誰も得しないから・・・。
しかし、1975年。ついにその時が来ました!そう、球団創立25年目にして初優勝のチャンスです!
戒厳令下のよう
みんながテレビで野球を見ているため
静まり返る広島の街・・・
ここぞとばかりにすごい応援
球場のテンションはピークに・・・
よかったねえ
優勝です。みんな号泣です。
これがホントの優勝セール
カープ豆腐店では、あれほど嫌がっていた光子が率先して豆腐を無料に!ていうか
やっぱり豆腐はタダになるんだ!!
カープウエディング
進と光子もようやっと
結婚式をあげることができたのでした。めでたしめでたし。って、シメも
やっぱりカープなのか!!
というわけで
「広島カープ誕生物語」
をご紹介しました。広島東洋カープがいかに骨の髄まで広島の人々に愛されているかお分かりいただけたことかと思いますが、奇しくもまた今回25年ぶりの優勝ということで、広島市内のあちこちで
豆腐がフリーになったのかもしれません。このまま日本シリーズも優勝して、ぜひ
油揚げやがんもどきも無料にしていただきたいものです。
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出典)
「広島カープ誕生物語」 中沢啓治/DINO BOX