【9月16日 AFP】スポーツ界における報酬金額に関して英国とオーストラリアの団体が15日に発表した共同研究では、近い将来に男女の格差が縮まる可能性は低いと報告された。

 女性取締役の増加を支援する団体Women on Boardsの調査報告によれば、性別によって生じる報酬の格差は、商業面の拡大によって放送権やスポンサー契約が大会にもたらす資金や、選手が獲得する賞金額が左右されることが原因の一端とされている。

 2014年に続いて発表された今回の報告書で、「多くのスポーツでみられる報酬の大きな格差は、すぐに埋まりそうもない」と発表されたことを受け、同団体で英国側の責任者を務めるフィオナ・ハソーン(Fiona Hathorn)氏は、「女性スポーツは迫力に欠け、観戦してもあまり面白くないなど、多くの議論があります」と声明で述べた。

「しかし、これはプレーに関する偏見にすぎません。時間をかけて、男性ではなく女性がサッカーやラグビーをプレーする姿が見慣れるようになってきていますが、それらの競技でも男性のプレーの方が新鮮味があるとされます。とはいえ、それは視点の問題なのです」

 先月開催されたリオデジャネイロ五輪を前に記された、「グローバルスポーツにおける男女均等(The Gender Balance in Global Sport)」と題された報告書では、通常のクリケットよりも短時間で行われるクリケット・トゥエンティ20(T20)では目覚ましい待遇の改善がみられ、「女性選手が相当な恩恵を受けている」とされている。

 しかしサッカー界のケースは別で、報酬格差を代表とするさまざまな問題が上層部に端を発していると指摘するハソーン氏は、「サッカー界を統括する主要団体では女性幹部がほとんどいません。オーストラリアではかなりの進歩があり、3人の女性上級幹部がいるプロの独立取締役会が発足していますが、英国ではほとんど状況が改善されていません」と明かした。

 女性幹部の存在に関して、テニス界では女性メンバーの割合が格段に増加しているが、600以上のスポーツ団体を調べたデータ報告書の補足によれば、それは2年前のゼロパーセントから数字が増えたにすぎないという。

 今回の報告書が発表されるわずか数日前には、オーストラリアのネットボールリーグで選手の最低給与が以前と比べて約2倍になることが決まり、1万3250オーストラリアドル(約101万円)から2万7375オーストラリアドル(約210万円)に倍増された。

 この画期的な合意によって、来季から女性リーグが創設されるオーストラリアンフットボールにも注目が集まっている。オージールールズ(Aussie Rules)とも呼ばれるこのスポーツの最初のシーズンでは、ほとんどの選手の基本給が5000オーストラリアドル(約38万円)とされており、最近の数週間で女性スター選手に対する報酬の低さが批判されている。(c)AFP