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JR九州(9142)のIPOと初値予想

IPO(新規公開株)

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こんにちは、せみけんです。

LINEに続き大型IPOのJR九州(9142)が上場予定です。

仮条件決定日が2016年10月6日、上場予定日が10月25日です。

 

目論見書を読んでみて、気になった点と気が早いですが、初値予想もしたいと思います。

 

 

1.JR九州について

2.中期経営計画と気になった点について

3.他社比較と初値について

 

1.JR九州について

JR九州といえば、勿論鉄道における運輸業がメインの事業となります。

主に4つのセグメントで構成されていています。

①運輸サービス

②建設

③駅ビル不動産

④流通外食

 

運輸サービスは、売上の40%を占める程度で、建設業や駅ビル不動産(賃貸)などの収入が大きいことがわかります。(他JRと違う点です。)

 

特に③駅ビル不動産は、営業利益率も高く、他のJRでもそうですが、ある意味不動産業といえるかもしれません。

 

特に博多は、JRJP博多ビルの開業や分譲マンションの引き渡しもあり、売上は伸びています。

 

平成 28 年4月に開業した「JRJP博多ビル」や平成 28 年3月期中に入居を開始した賃貸マンション「RJRプレシア博多駅前(208 戸)」「RJRプレシア郡元(164 戸)」等による不動産賃貸収入及び減価償却費等の増を見込んでおります。

 

また、不動産販売業においては、分譲マンションの開発及び販売に努めており、「MJR六本松(平成 29 年3月引渡し開始予定)」等の引渡し計画に基づく収入及び売上原価の増を見込んでおります

(引用元:平成 29 年3月期の業績予想について)

 

業績予想における各セグメントの数値をみてみると以下の通りです。熊本の震災の影響を受けていることから、運輸サービスは伸び悩んでいます。ただ、運輸サービスも含め、中国、韓国、台湾に近く、九州全体は観光客も増加傾向にあります。

 

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(引用元:平成 29 年3月期の業績予想について)

 

 

先にセグメントを見ましたが、今度は全体の業績予想を見てみましょう。震災の影響もありますが、利益はしっかり出てくるようです。第1四半期(平成29年3月期)の決算をみても好調な様子はうかがえます。

 

鉄道の運輸がメインの事業なので、それほど四半期毎の差はないと考えてもいいんじゃないでしょうか。今後の決算にも期待できそうです。

 

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(引用元:平成 29 年3月期の業績予想について)

当社グループを取り巻く経営環境について、国内経済は雇用・所得環境の着実な改善を背景に個人消費が底堅く推移するほか訪日外国人の増加傾向などにより、緩やかな回復を続けるものと見込んでおります。

 

一方で、平成 28 年4月 14 日に発生した「平成 28 年熊本地震」については、復旧・復興需要が徐々に顕在化するなど持ち直しの動きがみられるものの、熊本・大分両県を中心とした観光産業等は厳しい状況が続くものと見込んでおります。

 

観光客の増を、震災の影響が相殺してしまい、売上はほとんど変わらず。経常利益は増加傾向にあり、震災の影響が一巡されれば今後は期待できると思います。

 

前期は、運輸関係で負の遺産を処理していることから、今期は比較的しっかり利益がでています。前期に減損関係を処理していることは評価できそうです。また熊本地震の影響もすでに織り込みずみです。

 

 

売出の予想価格は、2450円です。

発行済株式数は、160万株です。

掛け算すると、2450円×160万株で、時価総額3,920億円となりますね。

 

配当は、37円50銭なので、2450円に対しては、配当利回り1.5%程度となります。JR東日本やほかのインフラ株と比較してももう少し欲しいかなという印象です。

 

 

2.中期経営計画と気になった点について

 

中期経営計画について

中期経営計画によると、2018年の営業収益4,000億円、2026年の営業収益5,000億円となっています。10年後に営業収益が30%(3800億円→5000億円)増加を目指しているので、大きな成長は見込みにくいですね。

 

1年あたり3%の成長なので、安易に30%の配当性向ではなく、もう少し高めでもいいと考えています。

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(引用元:JR九州グループ 中期経営計画)

 

 

鉄道における収益増加が見込みにくい中、九州における積極的なまちづくりを掲げています。

 

特に、駅ビル、マンション、ホテル、流通といった事業に力を入れていくようで、不動産業といえる分野に力を入れていくとのことです。

 

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(引用元:JR九州グループ 中期経営計画)

 

設備投資は2016年から2018年の3年で1,900億円と、EBITDA780億円でみても、あまり配当余力はなさそうです。

 

個人的には成長投資よりは、配当をしっかり出す企業となってほしいところですが、成長分野への投資に力をいれていくようですね。

 

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(引用元:JR九州グループ 中期経営計画)

 

気になった点①(有利子負債について)

目論見書を読んでいると、純有利子負債はないようでこの点は評価されても良さそうです。JR分割の時に恩恵を受けているのかもしれません。

 

設備産業なので、再投資分を考慮しても、もう少し配当だせそうかなと思いますが、しつこいでしょうか(笑)

 

気になった点②(優待について)

 

早速株主優待が発表されています。JR系でよくある、5割引の優待券が貰えるようです。私も博多行くときに使ったりするのですが、かなり割安にいけるのでありがたいですね。チケット屋さんに売却も可能だと思うので、そういった意味では利回りはよさそうです。

 

しかも1,000株なら、10枚貰えるようですね!上場と同時に発表するとは、株価対策もしっかりできています。

 

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(引用元:株式売出届出目論見書より)

 

 

 

気になって点③特別損失について

 

目論見書を読むと、前期(平成28年3月期)に特損を5,000億円程度だしています。

資産がもともと1兆円程度しかなかった企業なので、半分は減損したようですね。褒められたことではないんですが、ほぼノンキャッシュのもので、上場後に損をだすより予め特別損失として整理したようです。

 

この点は、上場後に発表すると暴落しかねないですし、評価しても良いかと思います。それにしても思い切って処理してます。

 

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(引用元:株式売出届出目論見書より)

 

 

3.他社比較と初値について

 

最後に他JRと比較して初値を予想してみましょう。

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時価総額で考えるとかなり小さく、JR西のさらに1/3程度。

 

全体を通してですが、ほかJRと比較しても鉄道輸送の占める割合が小さく、どちらかというと不動産サービス業に近いと思います。


ROEも比較的高く、利益率が高いため、事業としては悪くないと思います。人口の増えている博多が中心であり、外国(中国、韓国、台湾など)と近いため、玄関口としてこれからの発展にも期待できる点もいいですね。

 

有利子負債が少ない割には、配当利回りが小さい点は気になります。EBITDAと今後の設備投資の額を考慮すると手元で回すためにはこの程度の配当になりますが、負債はかなり調達できるのでまだ配当余地はあると思います。

 

また、九州という広いエリアで運営しており、不採算エリアがある点も今後の設備投資には影響してくる点も少し心配です。不動産業としてマンション等の販売をしていますが、景気の波が大きいため、運輸業の割合が小さいことから利益のブレは少し大きいと思います。

 

今のところ経常利益は右肩上がりで推移しているので、個人的には買いたいなと思っています。

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(引用元:株式売出届出目論見書より)

 

評価できる点としては以下の通りです。

・ROE高め、不動産サービス業で利益率も比較的高い

・外国と近い、観光客増

・優待発表済み

・自己資本比率高く、純有利子負債が無い点

・減損を済ませている点

 

気になる点としては以下の通りです。

・景気の並みに影響されやすい(他社JRより)

・不採算エリアの鉄道事業

・配当利回りが低い

 

 

基本的には買いのスタンスで臨みたいです。

 

初値予想としては、想定売出価格2,450円に対して、2,550円~2,730円程度でしょうか。PER11倍~PER11.5倍程度を予想してみます。(2016年9月16日時点)