未経験からデザイナーへの転職は可能か?
ぼくはデザイナーとして働いています。このブログもデザインやアートを主なテーマとして書いています(たまに脱線しますけど)なので、このブログを読んでいただいている方は、こうした分野に興味がある方だと想定して、今回は「未経験からデザイン業界に転職する方法」を考えてみたいと思います。
新卒の方ですと、未経験のまま就職する方が一般的だと思いますので、今回は「デザイン業界未経験の30代」を想定して、転職へのステップを順を追って解説していきます。
結論から言うと異業種からの転職は「厳しいけど熱意と努力で可能」です。一般的に言われていること、採用側からの意見、自身の経験などを踏まえながら書いていきますので参考になれば幸いです。
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「実務経験」をどうやって積めばいいのか
まず大きな壁が「実務経験」です。今回の話の前提として、デザイン業界への転職は未経験者にとってはとても狭き門です。
その理由は求人欄には「実務経験○年以上」と書かれていることがほとんどだからです。これは暗に「経験者以外お断り」と言っているようなもの。就職して実務経験を積みたいのに、未経験者には応募資格すらないというジレンマが存在します。
理由は簡単です。会社側としては「即戦力が欲しい」これが一番大きな理由です。小さな会社などは特にその傾向が顕著で、小さい会社は社長自らデザイナーとしての仕事をしている所が多々あります。少数精鋭のスタイルなので、人材育成にリソースをさくことができないため、どうしても即戦力を求めざるを得ない状況ですね。
そして未経験可で、人材育成のシステムが整っている大企業への転職は「倍率との戦い」です。伸びしろが多く、体力もあり若いライバルとまともに戦ってもかなり難しい思うので、やはり小さい会社へ滑り込んで叩き上げで上を目指すというのが正攻法だと思います。
採用側は実務経験のレベルをどうやって決めているか。
ぶっちゃけ○○が作れたら実務レベル。とかいう明確なラインは存在しません。実務経験という言葉の意味は非常に曖昧なんです。
ぼくは仕事柄「ほかのデザイン会社さんが作ったデータなんかを受け取ってちょっといじる」みたいなことがあります。あまり大きな声では言えませんが「こんなレベルでデザイナーとかぬかすなワレェ!」みたいなお粗末なデータに遭遇することも少なくありません。
そうです。実務経験とはあくまでその会社で仕事をする為の最低基準を満たしているかどうかを見極めるための一つの指標でしかありません。もちろん実務経験が10年あったとしても、すごくレベルが高いデザイン会社では門前払いされることもあるでしょう。なので「経験が無いから」という理由で転職を諦めではいけません。ではどうすればその壁を越えられるのか。具体的な方法を説明して行きます。
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実務経験相当の経験値を積む。
スキルは自分で積み上げることができます。もちろん独学で現役の実務者以上のレベルまで到達することも可能です。(※ビジネスマナーなどの社会人としての基本的な資質は除く)まずはどんなデザインがやりたいのかを決定することが最初のステップとなります。(グラフィック、プロダクト、webなど)今回はぼくの専門分野であるグラフィックデザイン(紙媒体)を例にとって説明していきます。
①ソフトの使い方をマスターする
実務経験者と同等のレベルを目指すわけなので、一通りソフトを使いこなせるスキルは要求されると考えてください。現場に即戦力として入社するわけなので、最低限、知らないことが出てきても調べれば理解してついていけるレベルまでは到達する必要があります。
これに関しては参考書などで徹底的に基礎力を養うことが重要です。
全くの未経験者の場合であればやはり、基礎から優しく解説してくれて、かつ一緒に作例を作っていくような書籍が良いです。手を動かすのが一番操作を覚えられます!
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②アウトプットの方法を確保する
一通りオペレーションができるようになったらアウトプットです。どこでアウトプットするかというと、クラウドソーシングや自分の作品を販売することができるminneのようなサイトで行うのがオススメです。
理由は実際にお客さん(依頼主)とデザイナーという関係性でアウトプットを行えるという点。完全に独学だとどうしても自分の好きなものだけ作ってしまいがち。もちろんデザイナーの仕事はそういった仕事ばかりではありません。こうしたサイトに登録し、小さな仕事を請け負うことで、実際にクライアントを満足させるにはどうすればいいか?という発想も自然と身についてきます。これはまさに生きた経験ですので、すごく重要です。
絵が得意なら簡単なイラスト作成の仕事を、Photoshopが得意なら画像の切り抜きの仕事など、初心者でも活躍できる場がたくさんあるので、こうしたアウトプットの場を外部にたくさん持っていることは非常に強みになります。上手くいけばお金をいただくこともできますし、自分の制作実績にもなります。ぼくのオススメは「minne」です。検索してもらうと分かりますが、ポスターやフォトフレームなどのグラフィックデザイナー向けの商材も販売することができます。無料で登録できますし、作った作品をどんどんアップしていけばリアクションをもらえたりと、学べる部分も多いです。
③インプットの質を上げる
デザイナーにはクライアントを満足させるセンスと知識が必須事項となります。個人的には技術以上に重要だと考えています。以前、「センスの磨き方」という記事を書きました。そしてセンスというのは知識や経験の集合体です。日頃から感覚を研ぎ澄まし自分にしかできないデザインを常に模索し続けること。それには世間の人(クライアント)よりももっと深い洞察が必要です。質の高いインプットを心がけながらセンスを磨いていく必要があります。
④ポートフォリオを作成する
ほとんどのデザイナーは自分のポートフォリオを持って就職活動に望みます。作品集ですね。特に決まったフォーマットはないので、webでも印刷物でも良いです。重要なのは見せ方(プレゼンテーション)と実績の質の高さです。実績に関しては上記に挙げたクラウドソーシングやminneなどで受注・販売した仕事は非常にポイントが高いです。ほぼ実務と言っていい。面接を受けたとき、自分の人となりやスキルが相手にスムーズに伝わるような見せ方を工夫するといいと思います。
ぼくのオススメのポートフォリオフォーマットは「ブログ」です。ブログ内で作品を発表して、作品と一緒に日頃考えていることなどをアピールできれば尚良いかと思います。やはり文章には人となりが出ますし、技術力が高くても人間性がアレな人もたくさんいるので、ブログで自分の成長記録を書き、何を学び、何を考え、どう成長してきたかをアピールできればかなりの強みになります。
実のところ、このブログもそういった要素も含まれています。(転職予定は今のところないけれど)
⑤最後は転職のプロに依頼する
①~④までは自分の努力でいかようにもコントロールが効く部分。そしてある程度スキルがつき、準備が整えばエージェントに登録しましょう。ハッキリ言って一人で転職先まですべて調べ上げ、面接まで持ち込むのは非常に労力を使うし、非効率的です。クリエイティブ職専門の転職エージェントがありますので、まずは登録し話を聞いてもらう。行動しないと何も始まりません。そしてエージェントはもちろん転職のプロフェッショナルです。相談する事で、自分に足りないものや市場がどんな人材を求めているかといった有用なアドバイスがもらえます。有名どころの大手エージェントに登録するのが、転職先も豊富で有利なのは間違いありません。
さいごに
冒頭でもお伝えしたように、未経験からの技術職への転職は、かなりハードルが高いと言えます。仕事もハードですし、情熱が無ければとても務まりません。しかしデザイナーほどおもしろい仕事はない。飽きる事がない、刺激的な仕事です。
何かをはじめるのに年齢は関係ありません。悩んでいる人はできることから挑戦してみてはいかがでしょうか。