民進党の新代表に、蓮舫氏が大差で選ばれた。

 安倍首相「1強」のもと、衆参両院とも与党が圧倒的多数の議席を握るなか、野党第1党の民進党は崖っぷちにいる。

 そんな苦境だからこそ、次の衆院選に向けて、知名度の高い蓮舫氏を党の顔にと幅広い期待が集まったのだろう。

 過去の失敗から何を学び、どのような政権戦略を描くのか。新代表の真価が問われるのは、まさにこれからだ。

 民主党政権が失敗した要因の一つは、党内の足の引っ張り合いだった。「親小沢対反小沢」に代表される対立が党分裂に至り、国民の不信を招いた。

 今回の代表選では憲法改正、沖縄の基地問題などで3候補の主張には違いがあった。

 議論は活発に行い、党として決めた後は結束してことにあたる。新代表のもと、そんな政治文化を今度こそ育ててほしい。

 もっとも、結束だけでは国民の信頼は取り戻せない。

 代表選では「低所得者にも納税をお願いしたうえで、就学前教育の無償化や介護の充実に取り組む」(前原誠司氏)、「毎年5兆円の『こども国債』を発行し、子育て、こども施策の予算を倍増」(玉木雄一郎氏)など特色ある提案もあった。

 党内外の多様な意見を取り込み、説得力ある政策体系に練り上げていく。そんな柔軟さも新代表には求められる。

 次の衆院選に向け、自公連立に代わりうる政権づくりをどう構想するかも大きな課題だ。

 ただでさえ強大な安倍政権に対し、野党がバラバラでは相手にならない。野党の連携は政権へのチェック機能を強め、政権の受け皿をつくるために欠かせない。それを主導するのは野党第1党の責任だ。

 代表選出後、蓮舫氏は「ほかの野党と協力してきた経緯がある。大きく振り切っていこうという話ではない」と語った。

 参院選1人区で一定の成果を上げた共産党などとの選挙協力を、どこまで進めるのか。政権選択選挙となる衆院選では協力へのハードルは高くなるが、議論から逃げてはならない。

 一足飛びの信頼回復はない。26日召集の臨時国会では一歩一歩、実績を積み上げ、国会に緊張感を取り戻してほしい。

 代表選では、蓮舫氏の「二重国籍問題」が指摘された。

 蓮舫氏は台湾籍の放棄手続きをとり、謝罪したが、説明が変転したことで批判を受けた。こうした時にどう対処し、国民の理解を得るのかも党全体の課題である。