「日本にはそんな旅行商品はありません」
本紙記者が7月、日本の「マイナスツアー」を体験しようと中国現地の旅行会社に問い合わせたところ、こんな答えが返ってきた。韓国では旅行経費を下回る超安値で外国人客を呼び込み、ショッピングに連れ回して手数料で利益を得る、いわゆるマイナスツアーが珍しくないが、日本にはそれが存在しないというのだ。
記者は代わりに、旅行会社が推薦する4500人民元(約7万円、航空チケット代は除く)の最安値ツアーを選んだ。中国人の団体客に最も人気の「黄金ルート」のツアーで、名古屋や大阪、富士山、東京を5泊6日で回る。
これに先立ち、本紙記者は7月初めに43万ウォン(約4万円)を払い、中国人客と一緒に3泊4日の韓国・済州島ツアーに参加した。航空チケットを除くと、4500人民元の日本旅行商品の1日平均費用は済州島パッケージツアーよりも2万ウォン(約2000円)ほど高い。両商品とも観光ホテルクラスの宿と食事、観光バス、ガイドが付いていたが、実際に体験してみると品質の差は価格差以上に大きかった。日本では6日間のツアーで家電や化粧品を販売するショッピングスポット3カ所を回った。
■時間をかけて富士山観光、ホテルの客室は清潔
7月14日、大阪から車で3時間ほど離れた静岡県の富士山。海抜2400メートルの5合目駐車場に降りた中国人客は、口々に「きれい」「最高」などと叫んだ。小学生の娘と参加したある客は、富士山をバックに娘の写真を撮った。2時間ほどかけて富士山を観光し、夕方には伝統旅館に到着した。6階の屋上には富士山を眺めながら24時間楽しめる温泉があった。宿泊代は1泊10万ウォン(約9000円)台で、朝食と夕食には和食の御膳が出された。床に座るスタイルに慣れていない中国人客は主人の説明を聞き、食後は温泉を楽しんだ。
旅行の初日に訪れた名古屋で泊まったホテルは、1泊5000円ほどだった。客室は広くはなかったが、清潔だった。済州島で泊まった中国人客専用ホテルよりもむしろ1泊あたり1万ウォン(約900円)ほど安かった。ガイドが案内する飲食店はほとんどが創業100年を超えており、鍋料理や丼料理を出した。中国人客が「私たちの中に回族(イスラム教を信じる少数民族)がいる」と言うと、豚肉の代わりに野菜や豆腐を使った料理が出てきた。