「又被騙了(また、だまされた)!」
先月4日、済州市内のショッピング・センターで、中国人観光客の王平さんがため息をついた。「雪花秀」「后」など人気の韓国製高級化粧品が安く買えると思っていたのに、全然聞いたことのない商品しかなかったからだ。トランシーバーを持った体格のいい係員は出入口を高圧的な態度で警備しているし、店員たちはつたない中国語で「半額だからとにかく買って」と声を張り上げていた。一日のうちにこういった店ばかり5軒も寄らされた王平さんは「飛行機代と合わせて1900元(約3万円)で韓国に来られたので良かったと思っていたが、それ以上の額を買い物に使ったような気がする」と苦い顔をした。
「質の低いショッピング」を強要する格安ツアーが韓国の観光競争力をむしばんでいる。特に、今年1月から7月までの間に訪韓した外国人観光客の半数を占める中国人観光客はあちこちで「カモ」扱いされ、韓国にうんざりして帰国した。
東アジアの観光市場は急変している。韓国と中国の外交的な確執により、韓国を訪れる中国人観光客は今後激減する可能性があると言われている。一方、日本は2020年の東京五輪を前に外国人観光客3000万人を誘致しようと、韓国に来る中国人観光客を狙っている。
本紙がソウルの主な観光スポットで中国人観光客300人を対象にアンケート調査を行ったところ、回答者の84%は「言葉・交通・食事・買い物が不便だった」と答えた。訪韓期間中に米国人の2倍、日本人の3倍に相当する1人当たり平均2319ドル(約24万円)を使う中国人が、日本などに旅行先を変えているのもそのためだ。
LG経済研究院によると、中国人観光客は昨年、韓国で2011年の3.4倍に当たる15兆7000億ウォン(約1兆4500億円)を使ったとのことだ。これは韓国の家計消費の2.1%に相当する。この割合は2020年には6.5%に達するとの見方もある。漢陽大学観光学部のイ・フン教授は「内需不振が長期化している韓国経済において観光産業は新たな突破口だ。不当な格安ツアーばかり販売するのは、せっかく舞い込んだ福を追い出すような行為だ」と語った。