高炉の現代製鉄も、国内市場には安価な中国産の流入があり、米国などからはダンピング課税がありで四苦八苦しているようだ。
「前政権で太った財閥はいじめられる」のジンクスどおり、検察のロッテ追及はジワジワと続いている。「あれは日本の財閥だ」というのが韓国人の一般的な受け止めだから、同情の声は起きていない。
そして、韓進(ハンジン)だ。大韓航空(KAL)が「ナッツ姫事件」以来、思わしくないところへ韓進海運の倒産だ。
一応、「韓進海運はグループからは切り離し済み」という形になっているが、それでは“国民情緒法”が許さない。「ナッツ姫のパパ」は私財の一部を供出したが、焼け石に水だ。
韓進海運の用船に積まれている貨物の陸揚げ遅延に伴う損害は、誰が補償するかが大きな問題になるだろう。
国策銀行である産業銀行も輸出入銀行も、造船各社に対する融資を「正常債権だ」と強弁することで引当金を逃れており、実質はBIS基準を割っている。「正常だ」と強弁できない不良債権がもう一段、積み増されると…「これは本当にヤバイぞ」。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。