「ライフハック本を読む人間のほとんどは、人生をハックできていない人間である」
というのが信条の僕にとって、ホリエモンの人生教訓を読むのはいささか抵抗があった。
ホリエモン自身はすごく好きだし、言ってることはとても真っ当で素晴らしいと思うんだけど、ホリエモンに群がるワナビーにはどうしても違和感を感じていたからだ。
とはいえ、この本は読まないわけにはいかなかった。
なぜなら、あの闇金ウシジマ君とコラボしたからである。
闇金ウシジマ君は1,000万部超売れている超人気漫画で、その内容はあまりにもリアルだ。
作者の真鍋昌平さんの取材力は業界では有名で、フリーエージェントくん編ではあの与沢翼にもインタビューしている。
ウシジマ君のリアリティは徹底的な取材によって成り立っているのだ。
闇金という仕事を通じて、現代の社会にはびこる問題に鋭く切り込んでいる。
特に印象的だったのが「楽園くん」編だった。
おしゃれキングを目指す中田広道の話で、金もないのに自己顕示欲に溢れ、ファッションスナップに取って目立つことに囚われて人生が狂っていく話だったと記憶している。
高校生の頃や大学初期時代、都会の服屋の店員に憧れていた。
「XXってショップの○○さんと友達」
と自慢してくる友達がいて、正直羨ましかった。
ファッションスナップに撮られたとなると、もはや地元のヒーローで、その雑誌を皆で回し読みしたものだ。
そんな僕の中でスマッシュヒットした楽園くん編だが、この本では触れられていない。
ホリエモンの主張はいつもシンプルである。
・自分の頭で考えて生きろ
・常識にとらわれるな
・世間の目を気にするな
・そして、自由に生きろ
たくさんの本を出しているが、毎回言い方を変えて、同じことを主張している。
そしてこのような主張は、逆説的だが、この主張は不自由に生きるサラリーマンにこそ響くのだと思う。
英語やダイエットと同じで、自分ができない人に限って、ホリエモンの生き方が眩しく見えるものだ。
僕も含めて。
この本の中で印象的だった話が4つある。
ひとつ目は、金はあくまで手段で、金を使って何を成し遂げるのかが重要だということ。
闇金ウシジマくん「フリーエージェントくん」編では与沢翼をモデルにしたアフィリエイトビジネス集団が描かれている。
彼らは一部ではホリエモン二世と呼ばれ、ネオヒルズ族として派手な生き方が取り上げられた。
ホリエモンは彼らとは意識的に距離を置き、関わらないようにしているようなのだが、その理由は彼らの目的が金そのものになってしまっていたからだという。
ホリエモンは強い口調で何度も主張している。
「ラクをしようとするな」
と。
苦労を引き受ける覚悟ができれば、自ずとビジネスはいい方向へと進んでいくのだ。
まずはカネの本質を学ぼう。
そうすれば人を騙すようなマネをしなくても、他に稼げる方保がいくらでもある広い世の中が見えてくるだろう。
ホリエモンが主張する商売の4原則。
1.利益率の高いビジネス
2.在庫をできるだけ持たない
3.毎月の定額の収入が得られる
4.少ない資本で始められる
これらに当てはまるのが情報商材ビジネスだが、セミナービジネスアフィリエイト集団が見ているのは顧客ではなくカネだった。
僕個人としても思っていることなんだけど、まず第一に考えるべきことは、お客さんを喜ばせることだと思う。
これをして、お客さんは喜ぶの?を考える。
簡単な例だと、このブログだってそうだ。
楽してお金にしたいなら、炎上記事を書いたり、SEO狙いで中身すっからぴんで、ツイッターの引用だけ貼り付けた記事を量産したほうがよっぽど楽にPVを稼げる。
でも、それはやらない。
読者に何か一つでも有用な情報を与えられるか?
読者がどこか一つでも面白いと思える情報を与えられるか?
を一番に考えること。
Googleも同じような社訓があると聞く。
ユーザーを第一に考えろ。
金は後からついてくる。
結局、最後はお客さんに愛されたものが勝つのが商売なんだと思っている。
楽しない。お客さんのために、労力を注ぐこと。
ホリエモンは本の最後にこう語っている。
信用を得るためには、相手と「Give and take!」という関係性を築くだけでは足りない。
「Give and give!」、おまけに「Give!」というぐらいの気構えが必要だ。
相手に惜しみなく与えること。見返りなど期待せず、相手の想像をはるかに超える何かを与えることこそが、信用を得るための近道だと言える。
私は昔から、クライアントからいただいた報酬以上の価値を、相手に返すように心がけてきた。
無茶な依頼でも真剣に取り組み、相手の期待以上のものを与えてきたつもりだ。
ふたつ目に印象に残ったは、金は信用だということ。
金は信用を数値にしたものに過ぎない。
一万円の原価は約28円だが、みんなが一万円の価値があると信じているからそれだけの価値がある。
人間につくお金の値段も信用なのだという。
逆に、一時的にお金を失ったとしても、信用があればいくらでも再起可能だとホリエモンは説く。
いつまでも仲間と一緒にいられるわけではない。
絆に頼れるわけではない。
何を頼りにするのか?
それは信用だという。
ホリエモンは言う。
信用こそが、現代社会のあらゆる問題に対処できる、最大の武器であることを、私は強く訴えたい。
みっつ目は、思考停止するな、動けということ。
(繰り返しになるが)僕も含めて99%の人はホリエモンの言葉を聞いても動かない。動かない。
現実にしがらみに囚われて動けないつもりになっている(ホリエモンはそういう人間を痛烈に批判している)
不満があっても、変えようとしない。
現状を維持する方がラクだから、そうしているだけ。
大きなチャンスを失っていたり、誰かに不当に搾取されたりしているのに、じっと耐えている。
「いろいろ不満だけど解消する方法がない」と、自分の不遇を環境のせいにしていて、本当はただラクしたいだけなのだ。
司馬遼太郎の「世に住む日日」という小説では高杉晋作を扱っていたんだけど、高杉晋作も動きながら考える人だった。
とにかく行動し、行動しながら頭を働かせる。
そういう人だった。ホリエモンに似てるな、と思った。
計画云々よりも、まず動いて考えるところが。
最後のよっつ目は、みんなプライド高すぎだということ。
みんな自意識過剰なんだという。
「あなたの動向をチェックしている人は、職場では限りなくゼロに近い」
とホリエモンは言うが、たしかにその通り。
みんな自分のことで忙しいし、精一杯だ。
職場を辞めるという人が出てきたら、その日は話題になるけど、半年すると誰も話題に出さなくなる。
みんな自分のことに精一杯だからだ。
つまり、自分が思っているほど、他人は自分に興味が無いということ。
それなのに、自分のプライドを守るために必死になって、行動を起こさないのは損だという。
プライドが高くて得することは一つもない。
プライドは問題を一つも解決しない。
これは本当にその通りで、僕自身無駄にプライドを持ってしまうことが多かったので、意識してプライドを低く保つようにしたい。
プライド低いやつの方が愛されるし。
変に格好つけて、幸せとは?
なんて考えるよりは、プライド捨てて行動するほうが格好いい。
なぜ俺は不幸なのだとか、幸せとは?人生の意味とは?などと、役に立たない抽象的な問いばかりが頭のなかをグルグル巡っている。
それ自体、何も生み出さないのに。広い世界へ動き出せば、問題は解決する。それだけ。
没頭できる趣味や好きな人を見つけて、自分の意志で時間を埋めていくのだ。
- 作者: 堀江貴文
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