中国 無人の宇宙実験室を打ち上げ

独自の宇宙ステーションの完成を目指す中国は、無人の宇宙実験室を15日夜、打ち上げました。来月には有人の宇宙船を打ち上げて今回の実験室とドッキングさせ、宇宙飛行士の30日間にわたる滞在やさまざまな実験を行う予定で開発を加速させています。
中国は、日本など世界15か国が参加する国際宇宙ステーションとは別に、独自の宇宙ステーションの開発を進めており、2022年ごろの完成を目指しています。
完成に向けて技術レベルの向上をは図ろうと、日本時間の15日午後11時4分、無人の宇宙実験室「天宮2号」が、内陸部にある酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、責任者は「軌道に入り打ち上げは成功した」と述べました。
旧暦8月15日の「中秋」にあたる15日は、中国では、家族で月見を楽しむ伝統的な日で、祝日となっている中、国営の中国中央テレビは打ち上げの様子を中継で大きく伝え、国威発揚を図る狙いもうかがえました。
「天宮2号」は、2011年に打ち上げた「天宮1号」を宇宙飛行士が長期滞在できるよう改良したものです。来月には、2人の宇宙飛行士をのせた宇宙船「神舟11号」を打ち上げ、「天宮2号」とドッキングさせ、宇宙飛行士が30日間滞在し、さまざまな実験も行う予定です。
また、来年には、物資などを運ぶ宇宙輸送船とのドッキングも行われる予定で、宇宙ステーションの完成に向けて開発を加速させています。

2022年ごろの完成目指す

中国は、アメリカや日本、ロシアなどが参加する国際宇宙ステーションとは別に、独自の宇宙ステーションの開発を進めており、2022年ごろの完成を目指しています。
2011年には、「天宮1号」という宇宙ステーションの実験機を初めて打ち上げ、無人の宇宙船とのドッキングに成功しました。さらに、2012年には、3人の宇宙飛行士をのせた宇宙船を打ち上げて「天宮1号」とのドッキングを実現させました。
そして、ことしは、宇宙飛行士が長期滞在し内部でさまざまな実験も行えるように改良した「天宮2号」に加え、来月には、有人宇宙船「神舟11号」も打ち上げ、「天宮2号」とドッキングさせ、宇宙飛行士が中国としてはこれまでで最も長い30日間にわたって宇宙に滞在する予定です。
さらに、来年には、物資を届ける宇宙輸送船「天舟1号」も打ち上げ、「天宮2号」とドッキングさせる計画で、この段階までは本格的な宇宙ステーションの完成に向けたテストという位置づけです。
本格的な宇宙ステーションとしては、2018年ごろ、中心施設となる「天和1号」を打ち上げるとしています。

アメリカや日本などが参加する国際宇宙ステーションの運用は、8年後の2024年までの見通しとなっている一方で、中国は、そのころには独自の宇宙ステーションの運用を始めている計画で、宇宙開発をリードしたいという思惑がうかがえます。
また、中国は、将来、世界各国、とりわけ発展途上国の国々が中国の宇宙ステーションを利用できるようにする考えを強調しており、宇宙開発を通じて国際社会でのさらなる影響力の拡大を目指しているとみられます。
一方、中国の有人飛行プロジェクトのトップは中国軍の幹部が務めており、国際社会からは、中国による宇宙空間の軍事利用がさかんになるとの懸念も上がっています。