世界でも有数の長寿国である日本。日本人の平均寿命は年々伸びている。しかし、日本人の平均寿命が長くなったのは、長い歴史から見ればつい最近のことだ。
今回は、歴史をさかのぼりながら、私たち日本人の平均寿命の変化について見て行こう。
過去の日本人の平均寿命の変遷 ~縄文時代~
農耕民族である日本人が、まだ狩猟で食べ物を獲得していた縄文時代。出土された当時のものとされる骨の分析によれば、日本人の寿命は推定15歳だったという。
まだ定住をしておらず、飢餓などが大きな死因とされている。
過去の日本人の平均寿命の変遷 ~飛鳥時代から江戸時代~
稲作が始まって、人々が定住するようになった飛鳥時代には、平均寿命が30歳になる。
しかし、中国やその他の国との交流が始まったことで伝染病が広まった。現代のような医療に関する知識や技術はないので、人々は神仏に健康を祈る時代がしばらく続いた。
江戸時代に入り、オランダなどヨーロッパとの交流も始まり、西洋医学が導入されると、人々の平均寿命は45歳となった(※1)。
終戦後からぐんぐん伸びた日本の平均寿命
世界的に見ても、平均寿命が長いと言われる日本だが、実は戦後で日本の平均寿命は男性が50歳、女性が54歳だった(※2)。
戦争が終わって社会情勢が安定し、経済成長により栄養状態も良くなったため、日本人の平均寿命は年々伸びていった。医療技術や予防医学も発達し、2015年、日本人の平均寿命は女性が87歳で世界1位、男性が80歳で世界8位となり、世界有数の長寿国となった。
長寿国日本が抱える課題は 医療福祉日や介護問題
日本は、平均寿命が伸びる一方で、さまざまな課題を抱えている。
国レベルでは、膨らむ医療・福祉費や年金問題、個人レベルでは、高齢者が自分の親を介護する「老老介護」をする家庭が多くなり、殺人事件にまで発展するケースもある。また、最近では、高齢になって経済的に生活の維持が難しくなった「下流老人」という言葉を聞くようになり、現代は高齢者が住みやすい社会だとは言いづらい。
平均寿命だけでなく、健康寿命を延ばすことが大切
厚生労働省の発表する平均寿命の他に、「健康寿命」というものがある。健康寿命とは、個人が自立して健康に生活できる年齢のことで、平均寿命の差は9年から12年あるとされる(※3)。
言い換えれば、亡くなる前の9~12年は、何らかの健康問題が生じて、寝たきりや介護が必要な生活を送ることになる。平均寿命が年々長くなっている日本では、この健康寿命を長くすることがポイントとなる。
健康寿命を長く保つには食事や運動、ストレスに気をつけよう
特に、高齢者が健康寿命を長くするには、日頃から食事や運動に気を付け、ストレスをためずに他者との交流を持つことが重要だ。
平均寿命が長くなり、高齢化社会となった日本。人生の大先輩でも高齢者は、私たちの未来の姿でもある。高齢者に優しい社会の実現を願うと共に、個人レベルでも末永く健康を維持できるよう努力したい。
参考・引用
- 引用
※1 もう一つの学芸員室 / まだまだ伸びる?日本の平均寿命 /
http://www.eisai.co.jp/museum/curator/mgm/160422g.html - ※2 ガベージニュース / 日本の平均寿命の推移をグラフ化してみる /
http://www.garbagenews.net/archives/1940398.html - ※3 厚生労働省 / 平均寿命と健康寿命をみる /
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf