長時間デスクワークで脳が退化! ランニングで再強化すべし!!
【前回の記事】
はじめに
午前中、あるいはランチの後、パソコンの画面を見ながら、ぼーっとしている自分に気がつく。
「仕事に集中したいのになぜ……」と疑問に思いつつも、やはり気が散る……。
もし、こんな症状があるなら、あなたの脳は退化しているかもしれません。
脳が衰えてしまっては、いくら小手先のビジネススキルを学んでも、意味がありません。
脳科学の観点から、こうした症状の原因と対策、新しい脳の鍛え方を解説します。
普通に生活していたら脳はどんどん退化する
普段、あなたはどんな毎日を過ごしていますか? 1日の流れを思い浮かべて、どれくらい身体を動かしているか確かめてみてください。
・通勤は電車か車
・駅構内では階段が隣にあっても、エスカレーターの長蛇の列に並ぶ
・会社ではデスクワーク中心で長時間同じ姿勢で座っている
・ランチも会社の食堂や近くの店で済ませるのでほぼ歩かない
・会議室までの移動はもちろんエレベーター
・帰りの電車の中では基本的にスマホをいじっている
・早く家に帰れても、テレビやネットサーフィンでだらだら過ごす
・週末は疲れて寝ているか、軽く買い物に行くだけ
もし、こんな「動かない毎日」を送っているとしたら、あなたの脳は徐々に退化しはじめています。
体は脳のスイッチのようなもので、体を動かせばそれだけ脳が活性化されます。
逆に動かない毎日を送っていると、脳への刺激が少なくなり、衰えていってしまうのです。
かつて私たち人類は、400万年もの長きにわたって、狩猟採集生活を続けできました。
お腹がすいたら獲物を求めて遥か遠い土地まで、移動するというように、圧倒的な活動量の中で、脳を鍛え進化してきました。
一方、現代はどうでしょうか。自分で機会をつくらない限り、走ることはおろか、歩くこともままなりません。
体はどんどん衰えて、脳機能も低下していきます。また、日々目にするものといえば、パソコンやスマホ、テレビといった「画面」ばかり。
これらは一見、多くの情報量に触れているように感じますが、実は狭い空間で1日中真っ白な壁を、見続けていることに近い状態です。
ずっと近くの変わり映えのないものばかり見ていると、脳に刺激が伝わらず、使わない部分がどんどん萎縮していきます。
あらゆること、ものが効率化され、何をするにも便利になった現代では、普通に生活していては、体も脳も衰えていく一方です。
意識的に体を動かさなければ、気がついたときには使い物にならない脳に、なってしまう可能性だってあるのです。
最強の脳は走ってつくる
そこでおすすめしたいのが「ランニング」です。走って脳を鍛えることです。
ランニングには、ダイエットや体型・体力の維持などを、期待する人が多いと思いますが、その効果は身体よりもむしろ脳にこそ表れていると言っても、過言ではありません。
ランニングをすると、主に「海馬」と「前頭葉」が鍛えられます。
海馬は記憶力、前頭葉は脳の司令塔として、集中力や計画力、発想力、判断力、思考力、そして感情までをも司っています。
役割を会社の役職に例えるなら、前頭葉が「社長」で、海馬はその補佐役の「秘書」といったところでしょうか。
共通するのは、どちらも仕事で高いパフォーマンスを発揮するための、必須能力を司っているということです。
ランニングとは、身体を鍛えると同時に記憶力や集中力、さらには発想力といった脳機能全体を高めることのできる、最強のパフォーマンスアップ・ツールなのです。
事実、トロント大学の教授、リチャード・フロリダ氏は、クリエイティブな人や年収が高い人ほど、体を激しく動かす運動に、熱心に取り組む傾向があると報告しています。
どういうことかというと、18歳から34歳で高額所得者(年収750万円以上)の人たちは、スキューバダイビング、スキー、テニス、そして旅行などで体を動かす回数が、低所得者(年収300万円以下)に比べて2倍も多い傾向にあるということがわかったのです。
体を動かすことで脳が刺激され脳機能がアップし、仕事効率もよくなる。さらにドーパミンやセロトニンが放出されるため、気持ちが前向きになります。
こうした効果が積み重なり、結果として年収が高くなる。経営者などエグゼクティブと言われる人たちにランナーが多いのも、あながち偶然ではないのかもしれません。
走ると起こる「脳にいいこと」
なぜ走ると脳が鍛えられるのか。その答えのひとつには、筋肉が大きく関係しています。走ることで得られる脳への効果を具体的に見ていきましょう。
① 足を動かすだけで脳が刺激される
筋肉を動かすと、その中にある感覚器から信号が発せられ、脳が活性化されます。
とくに足は筋肉量が多く感覚器が集中しているので、走ってここを動かすと、絶大な効果が得られるというわけです。
この足の筋肉からの信号だけで、記憶・発想・想像力が10%増大するとも、言われています。
② 血流改善で脳に栄養が行きわたる
さらに、筋肉は心臓から送られてきた血液を、送り返すという「ポンプ」の役割を担っています。
酸素をたくさん含んだ血液が脳に行き渡ることで、脳はさらに活性化されます。
体を動かせば血行がよくなるというのは、ある意味当たり前のようですが、脳を働かせるためには十分な酸素が必要です。
つまり、その酸素を運んでくれる血液の流れを改善させることは、非常に重要なことなのです。
走った後の血流反応を見ると、とくに真っ赤に反応しているのが海馬と前頭葉です。
走ると頭がスッキリすると感じるのはこのためです。
③ 脳細胞が増える
ランニングで血のめぐりがよくなり、脳内が新鮮な酸素を含んだ血液で満たされると、脳細胞が増えるという現象が起こります(ニューロン新生)。
脳細胞が増えるというのは、バイパスが増えていくのと似ています。
バイパスが増えると全体的に交通の便がよくなり、移動スピードが速くなります。
これと同じように、脳細胞が増えると、細胞同士をつなぐ部分(シナプス)が太く、強く、しっかりとしてくることで連結が強化されます。
情報伝達のスピードが、加速していくといったイメージです。
④ 海馬が大きくなる=記憶力がUPする
このことは、海馬を対象にした実験で数多く報告されています。
脳細胞の数が増え、それぞれの連結部分が太くなっていくと、重さにも変化が出てくるのです。
海馬は記憶を司る器官ですから、鍛えれば当然記憶力が上がります。
語呂合わせで歴史の年代を覚えるなど、物事をたくさん覚えるための効率の良い学習の方法は、昔からいろいろとあります。
しかし、どれも本当の意味で記憶力を高めていることにはなりません。
海馬自体を効率よく大きくするには、やはり走ることが一番なのです。
⑤ 脳細胞の成長因子「BDNF」が増える
息が上がるぐらいの中強度の有酸素運動を継続的に実行すると、年をとっても神経細胞(ニューロン)が新しく再生されたり、毛細血管が増加することが、わかっています。
そのため、ジョギングなど中強度の有酸素運動を継続すると、心臓や肺の機能が高まり、酸素が体の隅々まで行き渡ります。
そこで二酸化窒素が発生して血管が柔らかく強くなって、破れたり、詰まったりしにくくなるのです。
また、有酸素運動によって、脳内で傷ついた毛細血管の代わりに、新しい毛細血管がつくられます。
それによって、さらに新しい神経細胞ができ、シナプスも生み出されるので、一度衰えた「脳内ネットワーク」を強化することができます。
体を鍛えながら脳を鍛える走り方のコツ
とはいえ、ただやみくもに走ればいいわけではありません。
走って脳細胞を増やし、脳機能を全体的に高めるためには、適切な基準があります。
それは自分にとって適度な速さをキープし続けること。
そのときの気分でのんびり走ったり、逆にむやみにスピードを上げ過ぎてしまったりしては、せっかくの脳への効果が半減してしまいます。
では、自分に合った速さを見つけるにはどうしたらいいのでしょうか。
ポイントとなるのは「運動強度」です。
運動強度とは、走っているときに体にどれくらいの負荷がかかっているのかを、脈拍などをもとに数値化したものです。
例えば同じ距離を走るにしても、スピードの速い遅い、坂道か平坦な道かによって脳や体が受ける刺激はまったく異なります。
運動強度を何パーセントに設定するのかで、得られる効果も変わってくるのです。
脳を効果的に鍛えるためには、【運動強度60~80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月】という基準で行うのが最も効果的です。
「なぜ?」と思った方のために、裏付けとなる実験結果をいくつかご紹介します。
英国ケンブリッジ大学の、キャロル・ブレイン博士の研究によれば、運動不足はアルツハイマー病の22%に影響します。
1週間に3回、20~30分間の有酸素運動で、改善効果が表れるとしています。
また、2015年に発表された米国の研究「ランナーとウォーカーの健康調査(National Runners, and Walkers and Walkers, Health Study)」による報告では、
アルツイマー病予防に効果のある運動のひとつとして、毎週75分間のランニング(週3回に分けると1日25分)が挙げられています。
ほかにも「1日40分の有酸素運動を週3日実施で、海馬が大きくなった」とか「、15分以上のジョギングを週3日行うことで、
アルツハイマー病の発症を予防できる」といった報告もあります。
実験するうえでの細かな設定は異なるものの、これらを総合的にとらえると、先ほどの基準、
【運動強度60〜80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月】で行うのが、脳に刺激を与える最低ラインと言えるのです。
たまに、ぜえぜえと息が上がるほどの猛スピードで走っている人を見ることがあります。
ここで、脳細胞を増やし脳機能を高めたいのであれば、もう少しスピードを落とし、強度を低くする必要があります。
ただやみくもに適当なペースで走るのではなく、運動強度を意識する。これが、脳を鍛える走り方の基本です。
デュアルタスク・トレーニングでさらに集中力を高める
集中力は、主に前頭葉を鍛えることで高められます。
前頭葉は継続してランニングすることでも鍛えられますが、より効果的な方法として「デュアルタスク・トレーニング」をご紹介します。
「デュアルタスク」とは、2つのことを同時に行う「、ながら動作」のことです。
例えば「外を歩きながら会話をする」というのもその1つで、実は日常生活の中でもさまざまな場面で、自然と行っていることでもあります。
ながら動作を行うと、前頭葉のワーキングメモリ(おでこの端っこの部分)が、活性化されるのです。
エスポジト博士の研究では、単一作業を行っているときに比べ、ながら作業を行っているときの方が、この部分がより優位に活性されると、観察されています。
前頭葉は脳の司令塔とも言われる要の部分で、運動を行う機能と思考をつかさどる、脳の最高中枢です。
ここの働きが悪くなると、状況判断力の低下などあらゆる面で悪影響を及ぼします。
逆に言うと、デュアルタスクで刺激を与え続けることが、全体的な脳機能の向上につながるのです。
ここでは、簡単に前頭葉を鍛える方法として、「ひとりじゃんけんラン」を紹介します。
「ひとりじゃんけん」とは、文字通り両手を使ってひとりでやるじゃんけんのことです。
具体的には、毎回必ず勝負がつくようにグー・チョキ・パーを出すので、本来単体でも結構な集中力が必要になります。
この難しい作業を走りながら行うことで集中力を分散させ、より複雑な作業にするというのが、トレーニングのミソです。
前頭葉を鍛えるうえでは、この「複雑化」が最も重要なのです。
【STEP1:基本動作】
①走りながら腕を前に振る際にジャンケンをする。まず、「前に出す手」でグー・チョキ・パーのいずれかを出す。
②次に、反対(後ろ)の手で①に対して「負ける手」を出す。
③ジョギングをしながら、この一連の動きを続ける。
基本動作に慣れて、もっと前頭葉に刺激を与えたいという人は、STEP2のトレーニングを試してみてください。
やることは同じですが、3回ごとに「勝つ」「負ける」を切り替えることで動作を複雑にしています。
【STEP2:応用編】
①ジョギングしながら、基本動作と同じように「前に出したグー・チョキ・パー」を「勝つ手」、
「反対(後ろ)の手」を「負ける手」としてジョギングをしながら3回実施する。
②次に、「前に出す手」を「負ける手」、「反対(後ろ)」は「勝つ手」にして3回実施する。
今回は、ひとりじゃんけんとランニングの合わせ技を紹介しましたが、ウォーキングや階段の昇り降りをする際にも、応用できます。
ぜひ、普段の動きにひとりじゃんけんを、加えてみてください。
3分でひらめきを生む方法
長時間のデスクワークは、集中力だけでなく発想力をも低下させます。
そのまま煮詰まってしまうくらいなら、思い切って席を立ち、走りましょう。
時間はたったの3~5分、方法も「その場駆け足」や「階段ダッシュ」といったごく簡単なものです。
先ほど、脳細胞を増やし記憶力や脳機能全体を高める基準として、運動強度60~80%で20~30分を週3日の頻度で、3カ月続けるのが目安だとお伝えしました。
ここで、一時的に発想力を高めたいのであれば、運動強度90%の走りを、3~5分行うだけでも十分効果が期待できます。
その場で思い切り走る、ビルの1階から最上階まで全力で駆け上がるというような、心拍数を一気に上げる走り方をすると、
一息ついていると前頭葉に新鮮な酸素を含んだ血液が大量に送り込まれることで、ひらめきが生まれたり、思考がクリアになったりするのです。
走る前と後では、後の方が注意力・思考・意欲などの能力が13%上昇するという、報告もあるくらいです。
目安としては、息が上がるくらいの走り方を心がけてください。
思い切り走ったら、ゆっくりと歩きながら呼吸を整え、椅子に座って軽く目を閉じましょう。
それまでの苦労を吹き飛ばす、すばらしいアイデアが出てくるかもしれません。
時間があれば、外に出て軽く散歩をしてみるのもおすすめです。
スタンフォード大学の研究者によって、人は座っているときよりも、動いているときの方が、平均で約60%もクリエイティビティを、発揮すると証明されていますが、
その効果を知ってか知らずか、世界の偉人たちの中には散歩の効果を、うまく取り入れている人たちが数多くいます。
例えば、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏、ツイッターの創業者ジャック・ドーシー氏の3人は、
散歩ミーティングの推奨者として知られていますし、古くは哲学者アリストテレス、ドイツの哲学者カント、哲学者ルソーといった偉人たちも、
よく歩きながら考えていたといわれています。
会社の会議や打ち合わせなども、ときには外を軽く走ったり、散歩したりしながら行うのもいいかもしれません。
短時間で結果を出すという意味では、会議室の中で一斉にその場駆け足を行い、一息ついてから案を出すというようなやり方も、効果的かもしれません。
皆で体を動かすことでざっくばらんに話せる雰囲気になりますし、発想力の面でも脳力アップしているので、新規性のある意見やアイデアが期待できます。
まとめ
関連記事でも紹介しているように、我々が意識して脳をメンテしてあげる必要があります。
下記は、私がうつ病で2ヶ月間休職していた時の、一日の時間割です。
その時は、本文中の内容レベルまで、意識していませんでしたが、有酸素運動をかなり取り入れています。
3時 起床
3時~ 4時 室内運動
4時~ 6時 ネット情報収集
6時~ 7時 朝食・疑似出勤(30分散歩)
7時~ 9時 英語勉強
9時~12時 図書館(片道30分の歩行移動含む)
12時~13時 昼食
13時~14時 外運動(軽いジョギング10km)
14時~18時 プログラミング
18時~19時 夕食・風呂
19時~21時 専門書読み
21時 就寝
求職中に受診した人間ドックで、足の血圧が20代と測定され、看護婦さんを慌てさせたのは、以前、ご報告したとおりです。
また、本日で休職後の第一目標としていた、6ヶ月無欠勤を達成できました。
私の体験が、どれほど本内容に当てはまっているか、不確かですが、絶対に無関係ではありません。
また、復職後も土日は、有酸素運動を意識して、ジョギングを続けています。
皆さんも、できる範囲から実行に移してみませんか。
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