読者の意見:92%を挫折に追い込む全国技能大会

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 5000年の長い歴史を持つ誇り高い大韓民国。その国力の原動力は、5000万人の人的資源にあると言っても過言ではない。貧しい農業国から世界10位圏の経済大国に発展した背景には、1960年代から始まった技術者の育成、マイスター教育、徒弟教育、中小企業庁による人材育成事業といった職業教育が盛んに行われたことがあり、それが大きな基盤になったことは否定できない。ところが今現在、韓国で実業系高校に通う生徒の割合はわずか19%で、これは経済協力開発機構(OECD)平均の47%と比べて非常に低い。政府が基幹産業の技術者育成に向け、2022年までにこの数字を30%にまで引き上げる計画を立てたのはそのためだ。

 ところが政府が提示した職業教育活性化推進政策の内容を見ると、部処(省庁)間の横の連携がなく、またそれぞれの政策にも一貫性がない。そのため学校現場においてもどこに歩調を合わせるべきか分からず右往左往しているのが実情だ。ただその中でも以前から一貫して続いているのが技能大会だ。

 来月5日からソウルで開催される第51回全国技能大会には、地方での予選を勝ち抜いた3800人以上が参加する。しかしこの大会で入賞するのは参加者の8%に当たるおよそ300人で、残りの92%、およそ3500人以上の参加者は、数年にわたり努力を積み重ねてきたにもかかわらず、わずか1回の評価で「敗北者」となってしまう。過程よりも結果を重視する韓国社会のマイナス面がここにも如実に表れているわけだ。全国大会の参加者たちは各地方の予選でその実力が認められた専門の技術者であり、実際はその優劣をつけることなどできない。それにもかかわらず、彼らの能力を無理矢理数字で測り、順位をつけるのは教育という観点からも、また国家百年の計という観点からも決して望ましいことではない。

 全国技能大会は参加者全員が満足できる祝祭の場、あるいは希望の懸け橋にならねばならない。またこの大会は彼らが将来、優れた職人となる大きなきっかけにもなるべきで、それによって大韓民国の技術者全体に大きな刺激も与えねばならないのだ。数年にわたる努力により磨いてきた実力と、そこから得た誇りを一瞬で傷つける挫折の場ではなく、参加者の誰もが自らの夢を実現できるという希望を与える創造的な大会にすべきということだ。そのため全国工業高校校長会では技能競技大会の活性化に向けさまざまな提案を行っているが、そのたびに国からは「参考にする」という全く同じ言葉しか返ってこないのは非常に残念だ。教育部や雇用労働部(いずれも省に相当)など政府の各部処は一層連携を深め、より次元の高い政策開発とその推進に乗り出してほしいものだ。

イ・ヒョハンさん(全国工業高校校長会会長、昌寧第一高等学校校長)
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