【ニューヨーク=伴百江】米格付け会社S&Pグローバル・レーティングズは14日、米国の最低賃金引き上げは企業にとって打撃よりもプラスになるとのリポートを発表した。
現在、最低賃金の全米平均は時給7.25ドルで、フランス(11ドル)や英国(10ドル)などの先進国と比べ大きく下回っており、ギリシャやスペインと同水準という。最低賃金の引き上げで短期では企業の雇用コストが上昇するものの、離職率の低下で研修費用などが減り、生産性も向上することから、長期では企業の業績にプラスになるとしている。
S&Pによると、米国で最低賃金もしくはそれ以下の給料を受けている労働者は昨年時点で260万人おり、時間給労働者全体の3.3%を占めている。S&Pのエコノミスト、サティマン・パンディ氏は「鉄道インフラの定期メンテナンスが実質国内総生産(GDP)を押し上げるように、最低賃金を引き上げることは労働力の『人間インフラ』への投資だ」と指摘している。