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「夫婦控除」、18年1月にも 政府・自民検討

2016/9/14 21:23
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 政府・自民党は専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除を見直し、共働き世帯の税負担も軽くする「夫婦控除」を早ければ2018年1月にも導入する検討に入った。自民党の茂木敏充政調会長が14日、日本経済新聞などのインタビューで明らかにした。適用対象の年収は800万~1000万円など一定の上限を設ける方向。12月にまとめる17年度の与党税制改正大綱に盛りこみたい考えで、政府・与党内での調整が本格化する。

インタビューに答える自民党の茂木敏充政調会長(14日、自民党本部)
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インタビューに答える自民党の茂木敏充政調会長(14日、自民党本部)

 現在、配偶者控除は妻の年収が103万円以下であれば、夫の課税所得から38万円を差し引ける。制度の見直しは、少子高齢化による労働力不足が経済成長の足かせとなる懸念が高まる中、働く意欲のある女性の社会進出を促す狙いだ。

 現在の配偶者控除は夫の年収にかかわらず控除を受けられるが、夫婦控除では適用対象を一定の年収以下に限定する方針。基準となる年収について茂木氏は800万~1000万円の範囲で検討する意向を示唆し「全体の税収との関係も含めて検討していく」と語った。

 現在の配偶者控除は課税対象額を減らす所得控除で、適用される所得税率が高い高所得者ほど減税額が大きくなる。新たな夫婦控除では低所得者に税負担の少ない制度にするため、税額控除への移行を検討する考え。所得税額から一定額を差し引く仕組みで、収入に占める減税効果は低所得者の方が大きくなる。

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 配偶者控除の見直しを巡っては、自民党の宮沢洋一税調会長も「女性に社会進出を果たしていただくための後押しも必要になってきている」と見直しの必要性を強調している。政府内でも経済財政諮問会議や税制調査会も見直しに向けた議論を進めており、安倍晋三首相も前向きだ。

 ただ、負担が増える世帯も出てくるため、与党内には慎重論もある。伝統的な家族観を大切にする自民党議員の一部からは「専業主婦が家庭で果たしてきた役割を尊重すべきだ」といった声が聞かれる。支持基盤に専業主婦世帯が多い公明党内では「負担増の世帯が多くなる制度は認められない」との意見もある。

 茂木氏は夫婦控除を18年1月から本格的に導入するか、経過措置で試験的に導入するかについては「今後の議論になる」と述べるにとどめた。

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