中国の映画やドラマに出演するスター俳優のギャラが、1本当たり1人1億元(約15億円)前後に達し、高額過ぎると批判を浴びている。制作費を圧迫し、作品の質の低下を招いているとの懸念もあり、当局はギャラ抑制に動きだした。
きっかけはギャラ高騰を取り上げた中国国営中央テレビの番組。ある連続ドラマに出演中の男女俳優2人のギャラが、制作費の大半を占める計1億5千万元に上る一方、ロケ費用が足りず、脚本家など他のスタッフの報酬は極めて低いと伝えた。
中国でも人気の韓国ドラマのプロデューサーは「俳優のギャラが予算に占める割合は、韓国の場合は20~30%、米ハリウッドでは30%程度だが、中国は50~80%。ドラマの質に影響を与えている」と指摘。監督や劇作家から「業界の未来を殺している」との声が上がっている。
こうした現状を重視し、中国国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局は、ギャラ抑制に向けた指針を作るよう業界団体を指導すると発表した。ただ、ギャラ高騰の背景には、急速な経済成長に伴って映画・ドラマ市場も拡大し、「スターが出演していないと売れない。高騰は市場が機能している表れ」(中国紙、北京青年報)という事情もある。
インターネット上では「観衆はばかではない。今のままでは韓国や米国のドラマに取って代わられる」「俳優は高いギャラをもらってもいい。問題は、演技力がないのに自己宣伝だけ上手な一部の俳優たちだ」などの声が出ている。
=2016/09/14付 西日本新聞朝刊=
西日本新聞社
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