おすすめのナチス、ホロコーストを題材にした映画について今回紹介します!
ナチズム、ファシズムの台頭、ユダヤ人迫害、ホロコースト・・・など、この時代のドイツ周辺は激動しており、その分ドラマが大量に存在しました。
集団心理の馴れの果て、人の愚かさや、吐き気を伴う恐ろしい狂気がまざまざと描かれ、劇中目を伏せたくなる作品もあります。
正直、巷に溢れるホラー映画など比較になりません。
私は本当に恐ろしいものは、幽霊でも、超常現象でもなく、人間の狂気だと私は常々考えています。
その一旦を見ることが出来る貴重な映画ばかりです。狂気があるからこそ、それに飲まれる人や、苦悩する人、抗う人の、痛ましいけれど美しいドラマが生まれます。
おすすめ20選
シンドラーのリスト
第二次世界大戦時にナチスドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺(ホロコースト)が東欧のドイツ占領地で進む中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する軍需工場に必要な生産力だという名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話を描く。ホロコーストに関する映画の代表的作品として知られる。
ホロコースト映画と言えば、まず一番に取り上げられる本作。3時間15分とスピルバーグ監督作品の中でも最長の尺を誇るが、それでも退屈することはないだろう。主人公オスカーシンドラーは非常に人間的な人であるが故、その葛藤するシーンにはどうしても深く感情移入してしまった。
ラストシーンは必見。主人公の言葉に私は号泣しながら画面を見ていました。
ソハの地下水道
ナチス支配下のポーランドの下水修理業者であるソハは、副業として、空き家となったユダヤ人の家から金目のものを盗み出している小悪党である。そんな彼はある日、ルヴフ・ゲットーから逃げ出してきたユダヤ人たちの下水道内での潜伏生活を手助けすることになる。彼らと接する中でソハの気持ちには徐々に変化が現れるが、相棒がドイツ軍によって縛り首になるなど、自分の周囲にも危険が迫り・・・。
非常に秀逸な佳作。あまり有名ではないかも知れないが、是非見て欲しい作品。下水道内での生活は凄惨を極め、不潔、飢餓、強制される静寂など、非常に緊迫感があるものであった。潜伏生活を維持するため、生まれたばかりの子を母親が自ら窒息死させるシーンは鑑賞していて、言葉を失った。
その中でもソハの人間らしさ、そして葛藤が丁寧に描かれ、彼の優しさを見てると涙がこぼれました。
縞模様のパジャマの青年
ブルーノは軍人である父親の仕事の都合でベルリンから遠く見知らぬ土地へ引っ越してきたが、遊び相手もおらず、退屈していた。ある日、家から少し離れた場所に農場のような施設を発見する。大人の目を盗んでその施設へ行くと、そこには縞模様のパジャマを着た少年、シュムエルがいた。つまらない生活に退屈を感じていたブルーノと強制収容所で寂しい思いをしていたシュムエルに友情が芽生える。
強制収容所での話を子供視点で描いた良作。きっとドイツ人の子供から見たら、このような光景そして、理解に見えたのであろう。
その様な幻想を魅せた、大人たちを皮肉るかのようなラストは必見。この映画はそのラストシーンの為だけにあると言っても過言ではないと思う。
少年達の友情が、見ていて何故だか非常に切ない・・・。
戦場のピアニスト
ユダヤ人、シュピルマンはピアニストとして活躍していた。しかし1939年9月、その生活が一変する。第二次世界大戦が勃発し、ナチスドイツはポーランド侵攻を開始。ワルシャワはドイツ軍に占領され、親衛隊と秩序警察による過激な弾圧によって、ユダヤ人の生活は悪化してゆく・・・。
こちらも、ナチスドイツを描いた作品としては非常に有名である。TVでも放映されたので、鑑賞した人も多いのではないだろうか。この作品は始終、主人公シュピルマンが逃げ惑う姿が描かれる。ワルシャワ蜂起など幾らでもドラマになるシーンも全てシュピルマンの視点から描かれている。
それ故、鑑賞者は本当に『リアル』なユダヤ人迫害の風景を、シュピルマンの視点を通して感じることが出来るのだ。
逃げ惑い、最後にドイツ軍将校と出会うシーンは必見。
ライフ・イズ・ビューティフル
第二次世界大戦前夜の1939年、ユダヤ人のグイドは、叔父を頼りに友人とともに北イタリアの田舎町にやってきた。陽気な性格の彼は、小学校の教師ドーラに一目惚れし、桁外れなアタックの末に駆落ち同然で結婚して、愛息ジョズエをもうける。
やがて戦時色は次第に濃くなり、ユダヤ人に対する迫害行為が行われる。北イタリアに駐留してきたナチス・ドイツによって、3人は強制収容所に送られてしまう・・・。
前半のギャグパートが布石となり、後半の強制労働施設のシーンは雰囲気的には重くはないが、どこかしらに悲壮感が漂う。何よりも主人公グイドの深い愛情が鑑賞する人の心の奥に、深く染み渡る作品。
作品としても伏線の回収をしっかりと行っており、非常に完成度が高い。私はもう3度以上見直している作品であるが、それでもまた観たいと思えるほど素晴らしい名作。
アウシュビッツ行 最終列車 (ヒトラー第三帝国ホロコースト)
最終列車-それはユダヤ人を死の「アウシュビッツ強制収容所」へと運ぶ列車。 アウシュビッツ収容所を取り上げた映画、ドキュメンタリーは今までにも数多く存在したが、収容所に送られるまでを題材にした作品は少ない。 この作品は、アウシュビッツまでの道のりを列車で運ばれていくユダヤ人が、生き延びるために必死で過酷な環境に耐え、その中でも残酷なまでに命を落としていく様が克明に描かれている・・・。
レンタルして視聴した本作。なんとなくパッケージが安っぽく、ちょっと借りるのを躊躇ったが、非常によく出来た秀作。
アウシュビッツに送られる列車の中を描いた珍しい作品であり、悪臭、不潔、飢餓に塗れた列車は、まさに地獄絵図であった。不思議なことに、この映画を見ていると、まだ収容所の方がマシなのではと思えるほど。
どちらにせよ、待っているのは地獄なのだが・・・。
サウルの息子
1944年10月、ハンガリー系ユダヤ人のサウルは、アウシュビッツ=ビルケナウ収容所でナチスから特殊部隊“ゾンダーコマンド”に選抜され、次々と到着する同胞たちの死体処理の仕事に就いていた。ある日、ガス室で息子らしき少年を発見した彼は、直後に殺されてしまったその少年の弔いをしようとするが……。
2015年のカンヌのコンペティション部門においてグランプリを受賞した本作。
この映画は、背景描写があまりされることはなく、主人公サウルの行動そのものに焦点を当て進行していきます。それ故、観る人はゾンダーコマンドを類似体験しているような錯覚に陥ります。
決して後味が良い作品ではないですし、ここまで残虐な行動が行われていたかと考えると画面を直視するのを躊躇われますが・・・。
それでもこの映画は観てもらいたい作品の内の一つです。
灰の記憶
1944年、アウシュビッツ強制収容所。ユダヤ人のホフマンは、同じユダヤ人をガス室に送る特別任務を担う“ゾンダーコマンド”として働いていた。その見返りは食事と4ヵ月の延命。一方で彼は、密かに同じユダヤ人である焼却場の従業員や軍需工場で働く女囚らと焼却炉の破壊を計画していた。そんなある日、ホフマンはガス室で、奇蹟的に生き残った少女を発見する。医師の手当で一命を取り留めたその少女を、彼は危険を承知で匿うが・・・。
今回おすすめする中でも、一番ショッキングな作品です。サウルの息子と同じくゾンダーコマンドについて扱った作品です。
「明日は我が身」ということを理解しながら、それでも同胞を殺す姿はあまりに哀れで、映画には終始、絶望と虚無感が描かれていました。
ただただ真実のみを描いた作品。非常に淡々と残酷で恐ろしい物語は進みます。ただ、ラストシーンは胸にしみます。必見。
ミーシャ/ホロコーストと白い狼
1942年、ベルギーの首都ブリュッセルはナチス・ドイツの占領下にあり、ユダヤ人は容赦なく強制連行されていた。8歳のミーシャ(マチルド・ゴファール)の両親はユダヤ人であることを隠し、支援者に屋根裏部屋にかくまわれていた。だが、ある日一斉検挙が行われ、ミーシャの両親は連行されるが、彼女だけはその難を逃れる。
前半部は、ミーシャが強制収容所に連行されるまでを描き、後半部からは狼との雪山での触れ合いを描きます。
今回おススメにいれようかどうか迷いましたが、テーマ的に非常に暗く陰鬱な作品が多い中、これはほっこり出来たので。
ミーシャの体を張った演技が見どころです。
カティンの森
1939年、ポーランドはドイツ軍とソ連軍に侵攻され、すべてのポーランド軍将校はソ連の捕虜となった。アンジェイ大尉は、彼の行方を探していた妻アンナと娘の目前で、東部へ連行されていく。アンナは夫の両親のもとに戻るが、義父はドイツに逮捕され収容所で病死し、残された家族はアンジェイの帰還を待ち続ける。
こちらも非常にショッキングな作品。上で紹介した灰の記憶には劣りますが、人のどす黒い狂気が、そのまま画面に映し出されます。
多分、この本作と灰の記憶は私は一生忘れることが出来ない作品です。ラスト20分はおそらく体が凍りついてしまい、画面から目を離せないと思います。
間違いなく、映画史に残る名作。
黄色い星の子供たち
1942年ナチス占領下のパリ、ユダヤ人は胸に黄色い星をつけるよう義務付けられ、公園や映画館、遊園地への立ち入りが禁じられていた。それでも11歳のジョーと家族、隣人たちは、ささやかな暮らしは続くと信じていた。同年7月16日、フランス警察によるユダヤ人一斉検挙が始まり、およそ1万3,000人もの人々がヴェル・ディヴへと送られる。
紛れもなく、名作。ヴェルディヴ事件を元にフィクションを交えて描かれている本作。この作品の主人公である看護婦アネット・モノーにフォーカスされ話は進みます。
劇中における彼女の自己犠牲には心を打たれ、涙が溢れます。基本的にホロコーストが題材の作品は惨い結末が多いですが、その中でも、本作はささやかな希望を描いていて、心を打たれました。
シンドラーのリストに感動した人であれば、是非見てみて下さい。
サラの鍵
1942年、ナチス占領下のパリ。ユダヤ人一斉検挙によってヴェルディヴに連れてこられた人々の中に、少女サラはいた。それから60年後。パリに暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリアは、アウシュヴィッツに送られた家族を取材するうちに、かつて自分のアパートで起こった悲劇を知ることとなる。
女性ジャーナリストが、サラの行方を追いその生涯を知ることで、ミステリー要素を含んでいる本作。
他作品と異なるところは、ナチス・ドイツやホロコーストの与えた影響が、その後の人々にどのような感情を抱かせるかについて描いた点。後半部は歴史の重みを深く感じることが出来ます。
個人的には、サラが扉を開けるシーンは今でも忘れられません。
ヒトラーの贋札
1936年のドイツ、ベルリン。パスポートや紙幣など、あらゆる偽造を行うプロの贋作師サリー。犯罪捜査局の捜査官ヘルツォークに捕らえられた彼は、マウトハウゼン強制収容所に送られる。そこは犯罪者の送られる刑務所ではなく、ユダヤ人を対象にした収容所だった。
痛快な快作です。レンタル屋にて借りて視聴しました。(タイトルが安易で借りるのに少々躊躇いましたが・・・。)
本作は偽札作りを通した、強制収容所の様子やナチス・ドイツに対する対抗を描きます。他ホロコースト映画とは異なり、そこまで凄惨なシーンもない為、初見の方でも見やすいかと。
ラストは秀逸でした。
善き人
ヒトラーが独裁政権を築いた1930年代のドイツ。ベルリンの大学で学生を教えるジョンは、病に伏す母親を助け、自分の家庭では家事をこなす献身的な人間。そんなある日、自分が執筆した小説を読んだヒトラーが彼をナチス党に呼び入れることを決める。しかし、過去に戦争を戦い抜いた友人でユダヤ人のモーリスのことが頭をよぎり……。
ヴィゴ・モーテンセンが好きで、本作は映画館にて鑑賞しました。確かまだ大学生だった時・・・。
ジョンはこの動乱の時代に翻弄され、自身の思惑を上手く表に出せずに、思考することが困難になります。しかし、その姿もまた人間の本質を描いているような気がしました。
ラストのシーンは必見。この映画はそのラストの為だけに作られていると言って過言ではありません。自分が招いた事態がどのようになったのか、それを主人公が理解できた時はあまりに遅かったという・・・。
愛を読む人
1958年のドイツ、15歳のマイケルは21歳も年上のハンナと恋に落ち、やがて、ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになり、愛を深めていった。ある日、彼女は突然マイケルの前から姿を消し、数年後、法学専攻の大学生になったマイケルは、無期懲役の判決を受けるハンナと法廷で再会する。
この映画を見た時、私はまだ若かったので、痛いほど、主人公マイケルの気持ちが分かりました。映画前半、はしゃぐマイケルとハンナが眩しかった。
しかし、本作はその題名通り、『愛を読む』シーンが最大の山場になります。
主人公マイケルが録音し、ハンナがそれを何度も流すシーンは、何故だか涙が止まりませんでした。名作です。
ハンナ・アーレント
1960年、ナチス親衛隊でユダヤ人の強制収容所移送の責任者だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエル諜報部に逮捕される。ニューヨークで暮らすドイツ系ユダヤ人の著名な哲学者ハンナは、彼の裁判の傍聴を希望。だが、彼女が発表した傍聴記事は大きな波紋を呼び……。
話題になった本作。映画館のポスターで観たことある人もいるのではないでしょうか。アインヒマン裁判を巡るお話を書いた本作。考えることがどれほど重要かを明示した作品です。
色々なホロコースト作品を見た後に、この映画を見ると多分感想がかなり変わってきますので、まずは他のおススメを先に観ることを強く薦めます!
とても考えさせられる作品。
ヒトラー最後の12日間
1945年4月20日、ベルリン。ソ連軍の砲火を避けるために、ヒトラーはドイツ首相官邸の地下要塞に退却していた。すでに正常な感覚を失っていたヒトラーは部下に実現不可能と思える作戦を熱く語っていた・・・。ヒトラーが没するまでの最後の12日間を描いた作品。
まず、主人公ヒトラーに扮したブルーノ・ガンツの演技は圧巻です。私の中では彼がヒトラーとなっており、他ホロコースト映画を見る時は、必ず彼を思い浮かべます。
狂気とも言えるヒトラーの言動、そして迫りくる終末。そんな重苦しい雰囲気の中物語は進んでいきます。
この作品についても、出来れば他のホロコースト映画を鑑賞した後に観てもらいたいです!
ソフィーの選択
かけだし作家のスティンゴが、ソフィーというユダヤ人女性と知り合う。彼女には誰にも語ることの出来ない恐るべき過去があった。それは、彼女の人生を大きく左右する第一の選択であった……。ナチスのユダヤ人収容所に端を発する、一人の女性の悲劇を描く力作。
大学時代、文系の友達に推薦されて借りてみた本作。非常に古い作品ですが、それでも色褪せることのない名作です。
主人公ソフィーの過去を語る形でストーリーは進行していきますが、その苛酷さに思わず目を瞑り、耳を塞ぎたくなります。ラストの選択を迫られるシーンは哀しかった・・・。
ディファイアンス
ユダヤ人の大量虐殺が行われていた第二次世界大戦中の1941年。ベラルーシに住むユダヤ人の3兄弟、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)は子どものころからの遊び場だった森に逃げ込む。だが、彼らの思惑とは裏腹に、逃げ惑うユダヤ人たちが次々と森に集まり始め……。
なんとなく、こういう戦争もののパッケージのB級映画に騙され続けていたので、レンタルを躊躇いましたが、思い切って視聴。
これも隠れた名作でした。強制収容所ではなく、森の中で共同体を作り、対抗する。極限状態が続く中、私は終始画面に目を奪われていました。
善き人の為のソナタ
シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラーは、劇作家のドライマンと恋人で舞台女優のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられ……。
冷戦時代の話になります。今回のホロコーストとは少々テーマがずれるのですが、どうしても入れたかったので今回選びました。
私の今まで観た映画の中でもトップ3に入るほどおすすめの作品です。
その主人公ヴィースラーの繊細な心の動きを、ドライマンと恋人のクリスタ激しい情愛を余すところなく描き切っています。
何より、常に陰鬱で圧迫感が流れ続ける場面構成が素晴らしい。
主人公ヴィースラーのラストのセリフに、全ての意味が込められていて、その言葉を彼が吐いた時、私の目から滝のように涙が溢れ出ました。
Nein, das ist für mich.(いいえ、私の為の本です。)
見なければ絶対に損をする1本だと思います。
まとめ
如何だったでしょうか。ホロコースト映画は多数ありますが、その中でも特におススメのもののみチョイスしました。
取りあえず、この系統の作品を観たことがない方は、まずは「シンドラーのリスト」や「黄色い星の子供たち」がおススメ!
慣れてきたら、「カティンの森」や「灰の記憶」辺りを見てみましょう!
大きく絶望を伴い、胸にぽっかりと穴があいたような気分になりますが、それでも観ていて良かったと思える作品です。
また他にありましたら、随時追加しますのでたまに見に来て下さいな!
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ではでは
ウマキ