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2016-09-13 15:51:57
いきなり専門的な話をすれば、プレーリードッグはネズミ目(齧歯類)リス科プレーリードッグ属の動物の総称です。
ふるさとは北米大陸の草原地帯。
北米大陸の中央部に位置する温帯草原エリアは通常 「プレーリー」 と呼ばれ大穀倉地帯になっております。
この地域に巣穴を掘って集団生活を営んでおります。
陸に空に天敵が多いため、巣穴周辺で見張りをする習性があります。
そして天敵が近づくと犬のような鳴き声を発し、仲間に警告を促します。
草原 (プレーリー) に棲んでいる犬みたいな動物ということで 「プレーリードッグ」と呼ばれているのです。
余談ながら、同じような生活スタイルを営み 「見張り」 する動物に 「ミーアキャット」 が存在します。
面白いことに、ミーアキャットもネコの仲間ではありません (マングースの仲間です)。
ミーアキャットに関してはこちらの記事もご参照ください。
⇒ 動物園の人気パフォーマー!ミーアキャットってペットとして飼えるの?
プレーリードッグの仲間には下記 5種類が存在しています。
オグロプレーリードッグ : 最も一般的で個体数が多く、尻尾が黒い特徴を持つ。
オジロプレーリードッグ : 標高の高い場所に生息し、尻尾が白い特徴を持つ。
メキシコプレーリードッグ : メキシコに生息する絶滅危惧種。
ガニソンプレーリードッグ : コロラド、アリゾナ州に生息する。
ユタプレーリードッグ : ユタ州のみに生息する絶滅危惧種。
通常プレーリードッグと呼ばれるものは、オグロプレーリードッグを指し、ペットとして飼育されているのも当種です。
従って、これからオグロプレーリードッグについての特性について解説を進めます。
成体で、30-40 センチ位。
尻尾の長さが 10センチ前後です。
成体で 1キロ前後。
自然界では、1-6 年程度。
飼育下では、 6-10年 ですが、15年以上生きる場合があります。
自然界では天敵が多く、天寿を全うできない場合が多いのです。
比較的長寿な動物といえるでしょう。
オスは 2年 メスは 3年で成熟期を迎えます。
10-12月が繁殖期となり、非常に気が荒くなります。
妊娠期間は 35日程度で 一度に 3-7 頭の出産をします。
生活スタイルは 昼行性 です。
日中は地上で暮らし、夜間は巣穴の中で睡眠をとります。
群れを成して生活するスタイルですが、特徴的なのは 一夫多妻制 ということ。
オス 1匹に対して メス 数等で 1グループを形成し複数の家族で大きな集団を形成します。
この集団は 「コテリー」と呼ばれています。
草食性で、主に イネ科の植物 を主食としています。
植物に付着している昆虫や土も一緒に食してミネラルを吸収しています。
積極的に昆虫など肉食性の食料を食べることはありません。
降水量の少ない場所に生息するため、野生下では植物から水分を吸収しています。
飼育下では 牧草や専用フードを主食としています。
天敵を発見すると、犬のように キャンキャン鳴いて警告を発します。
しかし彼らは非常に言語能力の高い動物で他に 10種類位の声 があり使い分けています。
飼い主に甘える際の鳴き声もあります。
コミュニケーション能力の高い生き物です。
仲間同士の挨拶で キスに似た口付け表現をしたり、抱き合ったりします。
お尻を地面につけ、座ることもします。
まったりとうつ伏せになって日向ぼっこすることがあります。
なわばり意識が強く、自分になわばりに別の集団のオスが侵入してくると、最初はお尻の臭腺から臭気を発して威嚇します。
それでも、相手がひるまなければ 生き埋めにして殺してしまうこと があります。
メスの方もおとなしいわけではなく、出産後の抗争が激しくなると、他のメスの巣穴に侵入して、子供を殺すこともあります。
さらに親子ともども生き埋めにすることもあります。
なわばり争いから、ジリスを殺害する報告もあります。
食用とて、殺すのではなく・・・ 見せしめとして ・・・怖いですね!
かつてプレーリードッグは米国から 毎年 1万匹以上が輸入されて 1匹 2万円位で販売されていました。
しかし米国内で野生のプレーリードッグからペストに感染されたことや、野兎病をり患した生体が一部国内に流出したとの報告もあり
2003年、厚生労働省より、 全面輸入禁止の措置 がとられました。
現在国内で流通しているプレーリードッグは、措置発令以前に輸入された個体の子孫であり、国内繁殖されたものになります。
プレーリードッグは、かつて北米全域に 50億匹も生存していたといわれています (19世紀末の統計)。
しかし牧場を荒らす害獣として駆除の対象となり、なんと 98% も消滅してしまったのです。
巣穴に掃除機のようなものを差し込んで吸い出す機械も導入され、死亡しないまでも手足を失う個体も多くいました。
現在は国際自然保護連合 (IUCN) のレッドリストに絶滅危惧種として指定され、保護対象になっています。
プレーリードッグとはどんな動物か理解していただけましたでしょうか?
次に、プレーリードッグをペットとして飼う場合の魅力、そして問題点について触れたいと思います!
それでは、上記の特徴をもったプレーリードッグを飼い始めようとする前に、知っておきたいことを解説します。
プレーリードッグが現在高価で取引され、入手困難な現状にもかかわらず、不動の人気がある理由はなんでしょか?
まず 人懐っこさ があげられます。
集団生活を送っているため、社会適応性が強く、飼い主に慣れると甘えて膝の上に乗ってきたりします。
そしてユーモラスな仕草とボディランゲージの豊富さ・・・そして愛くるしいルックス!
比較的長寿な生き物なので、一緒に暮らせる時間が長いのも魅力のひとつです。
ペットとして飼い主に甘えてくるのは嬉しい限りですが、非常に寂しがりやです。
たえずスキンシップをとる必要があります。
仕事などの関係で家を空ける時間の長い方には、あまりおすすめできないペットです。
複数飼育を考えた場合、この「寂しがり」を解消できるメリットがあるかもしれませんが、オス同士では激しいケンカをする危険性があります。
できればメス同士の方が比較敵相性が良いようです。
寂しさが募ると、ストレスにより自分の身体を噛む 「自咬症」になる恐れがあります。
プレーリードッグは飼い主の顔を覚え、飼い主に非常に懐きます。
しかし 10-4月の繁殖期は激変します。
特にオスの場合体臭を発し、大好きな飼い主に向かっても噛みついてくる危険があります。
鋭い歯を持っているので、噛まれたら大けがをします。
いくら慣れているからといっても放し飼いは厳禁です。
鋭い歯と長い爪をもっており、野生の習性から柱や床、カーペットが荒らされる危険があります。
プレーリードッグの飼育に適した飼育環境を整えるには、現在の居住環境を替え、飼育環境整備にまとまった出費が必要になります。
犬や猫を飼育するようにはいきません。
なんといっても、この問題が最大の難関でしょう!
輸入禁止措置が発令される前には大量に流通し、価格も 2万円程度で入手できたのですが、今はその 10-20倍にまで高騰しました。
現在流通している個体は、輸入が禁止される前に国内にいた個体より繁殖させた子孫です。
同じ齧歯類でもハムスターやハツカネズミなどのように繁殖が容易なわけではありません。
専門のブリーダーの方が主に繁殖を行い、親プレーリードッグの飼育費用、餌代、諸費用、人件費がすべて上乗せされてきます。
市場に出回る機会も少なく、購入希望者の予約が殺到しているなか、入手できる機会はかなり狭き門の状況です。
里親探しのサイトもあり、入手できるチャンスもありますが、こちらも掲載即決のような状況が続いている現状です。
次のページではプレーリードッグの実際の飼育方法について解説したいと思います。