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「イシト……」 カーシュの唇が、指先が、イシトの全身を這う。一言たりとも声を漏らすものかとでも言うように、イシトの唇はいっそう強く結ばれ、シーツの皺は更に増えていく。 「……あっ……カー…シュ……ッ」 イシトの手が、いつの間にかカーシュの背を抱いていた。初めてのことだった。 「イシト……!」 「…っ…カーシュ!」 カーシュが堪らずに昇りつめると、その脈動に応えるように、イシトもまた果てた。 「イシト……。初めてだよな…おまえが応えてくれたの……」 カーシュは愛おしげにイシトの金髪に鼻先をこすり付けて囁いた。 「俺の背を抱いて、俺の名を、呼んでくれた……」 突然、イシトが振り向いた。それ以上口にするのは許さないとばかりに、カーシュを睨みつける。薄暗い中でも、その頬が紅潮しているのが判る。カーシュは、そんなイシトが尚更愛おしく思えた。 「怒るなよ……俺は……うれしい」 カーシュは、きつい眼で睨みつけるイシトを、かまわずに抱き締めた。 「俺は、うれしい……おまえが応えてくれたのが、うれしい……。今までずっと、俺の身勝手でおまえに無理強いしてるって思いがいつもあった。それでも、おまえをこの腕に抱いて、確かめずにはいられなかったから……」 「……確かめる?」 イシトが、わずかに表情を緩める。 「何を確かめるって言うんだ?」 改めて問われると、カーシュにもよく判らない。 何を確かめようとするのだろう。 「判らない……」 カーシュはイシトに頬を寄せて、彼には不似合いな、ため息のような小さな声で言った。 「俺がいて、おまえがいて……確かにここに、俺たちの間に、何か……」 カーシュは言葉に詰まり、イシトを離して仰向けになった。 「判らない……」 「カーシュ……」 イシトが半身を起こし、そんなカーシュを窺うように見つめる。彼はもう、睨みつけてはいなかった。 「君が私を好きで……そういうことか?」 カーシュが見返すと、イシトは微笑を湛えていた。カーシュは苦笑して、そのイシトの頭を抱き寄せ、自分の胸に載せた。 「俺がおまえを好きで、おまえは、そんな俺を許してる……。そういうこと」 少し考えるように黙ったイシトは、やがてポツリと言った。 「許してるんじゃない……」 「ん?」 カーシュが問い返すと、イシトは慌てて、また背を向けて横になった。 「イシト! なぁ、今なんて……」 背後から問いつめるカーシュ。だが、イシトはしらを切るばかりだ。 「なんでもない!」 「何でもなくないだろっ」 「しつこいっ。それ以上言うと、もう名前を呼んでなんかやらない!」 ぴしゃりと言い捨てたイシトに一瞬ひるんだカーシュだが、すぐにニヤリとしてイシトの肩口に唇を落とした。 「なぁ、それって……また名前呼んでくれるってことだろ?」
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| 副題「墓穴」(笑)。 珍しく、思わず墓穴を掘ってしまったイシト。 なんか、可愛いv オープニングはかなりエロっぽいんですが、本筋はいつもの可愛らしい痴話喧嘩です。でしょ? ね? ね? 「恋愛は、いつも片思い。恋愛が成立するかどうかは、一方の好意を、もう一方が許容できるかどうかだ」 2001.11.15 |
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