中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)で韓国が洪起沢(ホン・ギテク)前韓国産業銀行会長が務めていた副総裁ポストを失い、代わりに一段階低い局長級のポストを手に入れた。
韓国企画財政部(省に相当)は12日、AIIBの会計監査局長に韓国預託決済院社長の兪在勲(ユ・ジェフン)氏(55)が公募を経て選任されたと伝えた。財政執行や内部統制の業務を総括する。AIIBで韓国人が局長級ポストに就任するのは初めて。
政府周辺では、AIIBが韓国の副総裁ポストを持っていく代わりに局長級ポストを一つ譲ったと判断している。韓国はAIIBに37億ドル(約3770億円、5年分納)の分担金を払うことを約束、5番目の出資国となり、5人の副総裁ポストの一つを手に入れた。だが、副総裁(リスク管理担当)を務めていた洪氏が今年6月に突然休職。AIIBはフランス人の最高財務責任者を後任の副総裁に指名することを決めている。企画財政部関係者は、会計監査局長も主要ポストには違いないとしながらも「副総裁ポストを失うことで最高意思決定において韓国が排除され、それに伴う損失は大きい」と指摘した。
会計監査局長に就任する兪氏は金融委員会報道官、企画財政部国庫局長、金融委員会傘下・証券先物委員会常任委員を歴任。預託決済院社長の任期(3年間)が終わる11月に赴任する予定だ。フランスのエリート養成校、国立行政学院(ENA)を卒業し、アジア開発銀行、世界銀行などで勤務した経歴を持ち、国際機関の事情に通じていると評価される。兪氏は本紙の電話取材に対し「AIIBで失墜した韓国のイメージを回復させねばという責任感を感じている」と語った。
一方、AIIBの民間投資諮問官には元韓国投資公社副社長(CIO)の李東益(イ・ドンイク)氏(58)が起用された。このポストは公募を行わず、金立群AIIB総裁が自ら指名する。企画財政部は、民間資本との共同投資業務の担当者に韓国人が起用されたことで、国内企業の投資にも役立つものと期待を寄せている。李氏は世界銀行や韓国のサムスン生命保険などで市場分析や海外投資を担当していた。企画財政部の高官は「李氏が自らの役割をしっかり果たせば、(ポストが)局長級に昇格される可能性もある」と話している。
AIIBはあわせて、朴槿恵(パク・クネ)政権の初代経済副首相(企画財政部長官兼任)を務めたヒョン・オソク氏(66)を非常勤の国際諮問官に委嘱した。AIIBは主要国の元首相や元高官など要職経験者をメンバーとする10人ほどの国際諮問委員会を発足させ、国際戦略などの助言を受ける計画で、韓国政府はヒョン氏を推薦した。AIIBは米国や日本など非加盟国の要職経験者も同委員会に招き入れ、各国との関係強化を図っている。