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NaeNote

Life be Nice and Easy

「食事中のスマホご遠慮下さい」にこめられた店主の思いとおばちゃんの対応

ライフスタイル ライフスタイル-マインド

食事中にスマホをいじっている 目玉焼き ベーコン

こんにちは、NAEです。

夫婦ふたりで切り盛りしている20席もない小さな和食居酒屋へランチに入ったときのこと。

ふと目に入ったのが「食事中のスマホご遠慮ください」という手書きの張り紙でした。

ひとりスマホを見ながら食事をするという人も多い昨今、わざわざこの張り紙を貼るに至った思いを推測してみました。

今回はそんなお話。

そのお店はどんな店なのか

地下一階にあるそのお店はランチタイムは超混雑する人気店。

4人がけのテーブルが4席にカウンターが3席。混雑の際は相席をするのが当たり前。

人気の秘密は出される料理が質・量ともに飛び抜けており、かつ値段が安いから。

定番メニューは鶏の唐揚げ定食なんですが、他店の「唐揚げ定食」よりも唐揚げの量が多く、肉もジューシーで美味しいんです。

ホールや会計は奥さん、厨房を守るのが旦那さんの役割です。もう一人、外国人のバイトの子がいるのですが、彼女は皿洗いを担当しています。


そんな店の壁の高いところに掲げられているのが、半紙に筆で書かれた「食事中の携帯・スマホご遠慮ください」という張り紙です。

「スマホ禁止」の張り紙、考えられる理由

トイレで立ちションしながらでもスマホをいじる人すらいる昨今、食事中にスマホをいじる人がいるのもおかしくはない話です。

www.naenote.net

むしろファストフード店であればスマホをいじりながら食事をする人の方が多いようにも思います。

そんな中、なぜこの店ではあえてスマホ禁止を掲げているのか。店主とおばちゃんの思いを推測してみました。

食事中のスマホは料理人に失礼だ

夫婦ふたりで切り盛りして何年にもなるお店。当然出す料理にはそれなりのこだわりや歴史が詰まっているはず。

長年研究してきた下味のつけ方、油の温度、揚げ時間、その研究の結果が目の前の唐揚げ定食なのです。

そんな料理なので、食べる側には真摯に向き合ってもらいたい。自分の苦労の結晶、修行の成果を思う存分楽しんでもらいたい。

だからスマホを見ながらではなく、目の前の唐揚げ定食に集中して味わってくれないか。そんな思いがあるのかもしれません。


「それは出す側の理論だ」
「客がどう食べようが勝手だろう」

そう切り捨てるのは簡単ですが、せっかく丹精込めて作られた食事なんですから、ただかっこむだけでなく、味わってみませんか。

食事中のスマホは座席の回転率を下げる

料理人としての矜持以外にも、ビジネスとして側面もあるかと思います。

飲食店の売上は客単価×席数×回転数で決まります。ランチタイムの客単価はおよそ一定、席数も変わらないため、気にするべきは回転数ですね。

回転数を上げるには、客あたりの座席の占有時間を短くする必要があります。占有時間を分割してみます。

  1. 着席〜注文〜料理提供
  2. 食事中
  3. 食事後〜会計
  4. 席の片付け

さて、食事中にスマホをいじると食べるスピードが遅くなる気がしますね。上記3にかかる時間が長くなることになります。

そのため、食事中のスマホは回転数を下げ、店の売上減少につながる。そんな事情でスマホ禁止を掲げているのかもしれません。


「口にはこんだものを噛んでいる間にスマホを見ているだけだから食事スピードには影響ないよ」

それはごもっとも。ただまあ、実測してみないとなんとも言えません。スマホ見る時間を増やしたいがゆえ、無意識に噛む時間が長くなっているかもしれませんよ。(それはそれで健康にいいことなんですけどね)

食事中のスマホはマナーが悪い

なにより、食事中にスマホいじるなんてそもそもマナーがなっていない。そんな思いもあるのでしょう。

実際に「食事中 スマホ」でググってみたところ、出てくるのは

いずれも「マナー悪い」という内容のものです。擁護する声はほとんどみかけません。

一人で食事をしているときならまだしも、複数人での食事ですらスマホをいじり始めるというのはどう考えても一緒に食事をしている人に失礼です。おまえよりスマホの方がおもしれーんだよと暗に言っているようなものですから。


「一人だったら別にいいじゃないか」
「どう過ごすかは客の自由だろ」

まあ、一人自宅での食事であれば文句ないんですが、公共の場では周りを不快に思わせないような立ち居振る舞いをすることも社会生活では大事ですよ。

おばちゃんの注意の仕方

さて、食事中にスマホをいじるのを注意するのはホール担当のおばちゃんの役目です。

ぼくが食事中、ちょうど別の人がスマホいじりの注意を受ける場面に遭遇しました。

その人に歩み寄るおばちゃん。通り過ぎぎわにその人の顔をチラ見しながら一言。

「ほらほら、この唐揚げ、揚げたててすごく熱いでしょ。やけどしちゃうかもしれないから、スマホ見ながら食べるのはやめてね」

言い終わるとそのまま他の客の注文を取り、「からあげ1枚追加でー」と奥の店主に声をかけていました。


見ていてなるほどなーと思いました。

  • 店側の事情やマナー的な部分を全く出さず、純粋に食べる人の視点で話をしている
  • おせっかいなおばちゃんというキャラを活かした、言われても嫌な気持ちにならない言い回し
  • 一言かけたらさっと仕事にもどることで、その場の口論や後腐れを避ける

おそらく、これまで毎日店をやってきたおばちゃんの編み出した最も良い注意のしかたなのでしょう。

そしてきっと、この芸当は奥でしかめっ面をしながら唐揚げを作り続ける店主には難しかったように思います。よくできた役割分断です。

まとめ:食事中はスマホいじらないようにね

というわけで、食事中にスマホをいじる客に対する思いを想像してみました。

スマホはたしかに便利です。触っていればいろいろな情報をくれるし、暇つぶしもさせてくれる。

でもそのスマホ、本当に今見ないといけないんでしたっけ?目の前に広がるリアル世界の方が実はおもしろく、そして大事かもしれませんよ。

今回は以上です。