文化
アドラー心理学を正しく理解する2つの方法
哲学者・日本アドラー心理学会顧問 岸見一郎
方法論としての対話
職場で「貢献感」を強調すれば、下手をするとブラック企業の論理にも通じてしまいます。そこで、今回はアドラー心理学が悪用されないために、正しく理解するためにはどうすればいいか、二つの方法について考えてみます。
一つは『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』のように、対話形式で学ぶ方法です。「哲人」と「青年」の粘り強い問答は、アドラー心理学のポイントを浮き彫りにします。一方的に話を聞くのではなく、問答をすることが、真理に到達するためには必要です。青年は想定しうるあらゆる質問を哲人にしますから、読者は哲人と青年の対話の現場に立ち会っていると感じられるでしょう。
実際、この2冊をつくる過程においては、共著者の古賀史健さんと担当編集者の柿内芳文さんが東京から、私の住む京都まで2年以上も通い詰め、徹底的な対話を行いました。まるで「青年」のような2人との共同作業の成果が詰まったのが、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』なのです。
もう一つの誤解されないための方法とは?
もう一つが『困った時のアドラー心理学』や『人生を変える勇気』において採用した「悩み相談」という形式ですが、これには元ネタがあります。
それは何かというと、私の講演会です。私は講演の時間はなるべく短くして、質疑応答時間を長めに取るようにしています。すると、悩み相談のような質問をする人がいます。その質問をその場に居合わせる人が聞くと、自分もカウンセリングを受けている気になります。
これは、アドラー自身もしていた公開カウンセリングといえます。実際の公開カウンセリングであれば、1人のカウンセリングのためには1時間はかかりますから、講演後の質疑応答は公開カウンセリングの簡易バージョンといえます。
『人生を変える勇気』は、日常の様々な場面で遭遇する問題への回答を通じて、アドラーの教えを具体的に理解でき、実践の手引きになっています。
付け加えるならば、たとえ読者が取り上げられている質問が自分とは関係のないものに見えても、実際には自分と無関係な質問はありません。高齢者の問題が青年期の読者に関係ないということはありませんし、逆もまた真です。もしもあなたが若ければ、親や上司や大人が考えていることがわかり、逆にもしあなたが人生の年輪を重ねているのでしたら、子どもや部下の気持ちを理解する一助となるでしょう。
職場で「貢献感」を強調すれば、下手をするとブラック企業の論理にも通じてしまいます。そこで、今回はアドラー心理学が悪用されないために、正しく理解するためにはどうすればいいか、二つの方法について考えてみます。
一つは『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』のように、対話形式で学ぶ方法です。「哲人」と「青年」の粘り強い問答は、アドラー心理学のポイントを浮き彫りにします。一方的に話を聞くのではなく、問答をすることが、真理に到達するためには必要です。青年は想定しうるあらゆる質問を哲人にしますから、読者は哲人と青年の対話の現場に立ち会っていると感じられるでしょう。
実際、この2冊をつくる過程においては、共著者の古賀史健さんと担当編集者の柿内芳文さんが東京から、私の住む京都まで2年以上も通い詰め、徹底的な対話を行いました。まるで「青年」のような2人との共同作業の成果が詰まったのが、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』なのです。
もう一つの誤解されないための方法とは?
もう一つが『困った時のアドラー心理学』や『人生を変える勇気』において採用した「悩み相談」という形式ですが、これには元ネタがあります。
それは何かというと、私の講演会です。私は講演の時間はなるべく短くして、質疑応答時間を長めに取るようにしています。すると、悩み相談のような質問をする人がいます。その質問をその場に居合わせる人が聞くと、自分もカウンセリングを受けている気になります。
これは、アドラー自身もしていた公開カウンセリングといえます。実際の公開カウンセリングであれば、1人のカウンセリングのためには1時間はかかりますから、講演後の質疑応答は公開カウンセリングの簡易バージョンといえます。
『人生を変える勇気』は、日常の様々な場面で遭遇する問題への回答を通じて、アドラーの教えを具体的に理解でき、実践の手引きになっています。
付け加えるならば、たとえ読者が取り上げられている質問が自分とは関係のないものに見えても、実際には自分と無関係な質問はありません。高齢者の問題が青年期の読者に関係ないということはありませんし、逆もまた真です。もしもあなたが若ければ、親や上司や大人が考えていることがわかり、逆にもしあなたが人生の年輪を重ねているのでしたら、子どもや部下の気持ちを理解する一助となるでしょう。
職場で「貢献感」を強調すれば、下手をするとブラック企業の論理にも通じてしまいます。そこで、今回はアドラー心理学が悪用されないために、正しく理解するためにはどうすればいいか、二つの方法について考えてみます。
一つは『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』のように、対話形式で学ぶ方法です。「哲人」と「青年」の粘り強い問答は、アドラー心理学のポイントを浮き彫りにします。一方的に話を聞くのではなく、問答をすることが、真理に到達するためには必要です。青年は想定しうるあらゆる質問を哲人にしますから、読者は哲人と青年の対話の現場に立ち会っていると感じられるでしょう。
実際、この2冊をつくる過程においては、共著者の古賀史健さんと担当編集者の柿内芳文さんが東京から、私の住む京都まで2年以上も通い詰め、徹底的な対話を行いました。まるで「青年」のような2人との共同作業の成果が詰まったのが、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』なのです。
もう一つの誤解されないための方法とは?
もう一つが『困った時のアドラー心理学』や『人生を変える勇気』において採用した「悩み相談」という形式ですが、これには元ネタがあります。
それは何かというと、私の講演会です。私は講演の時間はなるべく短くして、質疑応答時間を長めに取るようにしています。すると、悩み相談のような質問をする人がいます。その質問をその場に居合わせる人が聞くと、自分もカウンセリングを受けている気になります。
これは、アドラー自身もしていた公開カウンセリングといえます。実際の公開カウンセリングであれば、1人のカウンセリングのためには1時間はかかりますから、講演後の質疑応答は公開カウンセリングの簡易バージョンといえます。
『人生を変える勇気』は、日常の様々な場面で遭遇する問題への回答を通じて、アドラーの教えを具体的に理解でき、実践の手引きになっています。
付け加えるならば、たとえ読者が取り上げられている質問が自分とは関係のないものに見えても、実際には自分と無関係な質問はありません。高齢者の問題が青年期の読者に関係ないということはありませんし、逆もまた真です。もしもあなたが若ければ、親や上司や大人が考えていることがわかり、逆にもしあなたが人生の年輪を重ねているのでしたら、子どもや部下の気持ちを理解する一助となるでしょう。
職場で「貢献感」を強調すれば、下手をするとブラック企業の論理にも通じてしまいます。そこで、今回はアドラー心理学が悪用されないために、正しく理解するためにはどうすればいいか、二つの方法について考えてみます。
一つは『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』のように、対話形式で学ぶ方法です。「哲人」と「青年」の粘り強い問答は、アドラー心理学のポイントを浮き彫りにします。一方的に話を聞くのではなく、問答をすることが、真理に到達するためには必要です。青年は想定しうるあらゆる質問を哲人にしますから、読者は哲人と青年の対話の現場に立ち会っていると感じられるでしょう。
実際、この2冊をつくる過程においては、共著者の古賀史健さんと担当編集者の柿内芳文さんが東京から、私の住む京都まで2年以上も通い詰め、徹底的な対話を行いました。まるで「青年」のような2人との共同作業の成果が詰まったのが、『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』なのです。
もう一つの誤解されないための方法とは?
もう一つが『困った時のアドラー心理学』や『人生を変える勇気』において採用した「悩み相談」という形式ですが、これには元ネタがあります。
それは何かというと、私の講演会です。私は講演の時間はなるべく短くして、質疑応答時間を長めに取るようにしています。すると、悩み相談のような質問をする人がいます。その質問をその場に居合わせる人が聞くと、自分もカウンセリングを受けている気になります。
これは、アドラー自身もしていた公開カウンセリングといえます。実際の公開カウンセリングであれば、1人のカウンセリングのためには1時間はかかりますから、講演後の質疑応答は公開カウンセリングの簡易バージョンといえます。
『人生を変える勇気』は、日常の様々な場面で遭遇する問題への回答を通じて、アドラーの教えを具体的に理解でき、実践の手引きになっています。
付け加えるならば、たとえ読者が取り上げられている質問が自分とは関係のないものに見えても、実際には自分と無関係な質問はありません。高齢者の問題が青年期の読者に関係ないということはありませんし、逆もまた真です。もしもあなたが若ければ、親や上司や大人が考えていることがわかり、逆にもしあなたが人生の年輪を重ねているのでしたら、子どもや部下の気持ちを理解する一助となるでしょう。
2016年07月22日 05時20分
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