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人事評価シートをまじめに書かないと損をする

NIKKEI STYLE 9月13日(火)7時0分配信

 今月は「キャリアと年収」をマネーハックしています。キャリアデザインはどんな働き方をしていても大事なことです。
 今週はその中でも「人事評価」について考えてみましょう。ボーナスの査定時や半期ごとや年度末に提出する自己評価シート、仕事が忙しいからとちゃちゃっと書き上げて人事部や上司に提出していないでしょうか。
 これはマネーハック的に考えると、あなたのキャリアや仕事のがんばりを半分捨てているようなものなのです。

■仕事でがんばったら、自己評価もがんばる

 私はかつて、企業の人事部にいろんなテーマで取材する仕事をしていたことがあります。この中で印象に残っている事例として、「社員に本気で人事評価(自己評価)を書いてもらうキャンペーン」というのがありました。
 ほとんどの社員が仕事でがんばっても、人事評価シートを熱心に書いていません。せっかく仕事の中身は評価に値するのに、しっかりと自己申告されていなければ会社は評価できません。なのに、そういう社員ほど「会社は何も分かってくれない」と不満を持つというおかしな構造になっていることがあります。
 そこで、本気で仕事をしてがんばったのだったら、人事評価シートも本気で書いて、きちんと人事評価をしてもらおうというのがこのキャンペーンの狙いでした。
 会社員である以上は組織に属しています。どんなに素晴らしい仕事をしたとしてもそれを伝える努力を怠れば何にもなりません。その仕事をしっかり評価してもらわなければ、キャリアアップにはつながらないわけです。
 仕事でがんばったのと同じくらい、自己評価を高める努力も重要なのです。

■ゲーム理論的にも手抜きの自己評価は損をする

 一時期、ゲーム理論というものが流行しました。複数の人間の取る行動の最適戦略を考えてみようというものです。ゲーム理論のアプローチをちょっとまねて、人事評価をまじめに書くことの効果について考えてみましょう。
 あなたと、同僚3人の選択を簡単な図にしてみました。あなたより優秀な同僚、あなたと同程度のスキルの同僚、あなたの能力が上回っている同僚の3人です。
 あなたと同僚が、それぞれ人事評価シートを「真剣に記入した」「適当に記入した」ケースを考えてみると、どのシチュエーションにおいても真面目に人事評価を記入したほうがお得であるということが分かります。
 一番ラッキーなのは、あなたより優秀なライバル社員が人事評価シートを真剣に書かなかったことで低評価になり、あなたと同等あるいは人事評価が逆転する可能性です。
 一番最悪なケースはその逆です。あなたが人事評価の記入シートに手を抜いてしまったため、能力が劣る同僚より人事評価が低くなってしまったパターンです。とっても腹が立つのではないかと思いますが、これは人事部が悪いのではなく、自分が悪いのです。

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最終更新:9月13日(火)7時0分

NIKKEI STYLE

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