今年も体育大会・運動会の季節が近づいてきたが、いつもとは様相が大きく変わっている。昨年9月、大阪府八尾市の市立中学校で開催された体育大会で組み体操の「ピラミッド」が崩壊し、生徒6人が重軽傷を負う事故が発生。その後の文部科学省の調査で、平成23年度以降で“運動会の華”といわれる組み体操に関連する事故が年間8千件以上も起きていたことが判明。「教育効果と危険性のバランスを判断する」よう求める同省の通知を受けて、各校の対応は大きく分かれている。「達成感を味わってほしい」「それでも安全が大切」……揺れる教育現場からは苦悩の声があがっている。(香西広豊)
「教職員全員で安全面について十分に配慮することを共通認識したうえで、組み体操実施を決めた」
八尾市のある市立中学校の校長は、9月25日開催予定の運動会で組み体操を実施することを決めた。1〜3年生の男子生徒全員が参加して練習に励んでいる。
市教委が4月に策定した組み体操の安全に関するガイドラインでは、四つんばいで重なる「ピラミッド」は5段まで、肩の上などに立って塔を作る「タワー」は3段までと上限を設定。2段以上に重なる演技では、2段以上に乗る児童・生徒と同数以上の補助を配置することや、練習で一度も成功していない演技は本番では実施しないことも指示されている。
copyright (c) 2016 Sankei Digital All rights reserved.