半導体大手のルネサスエレクトロニクスは13日、米同業のインターシル(カリフォルニア州)を買収すると正式発表した。買収金額は32億1900万ドル(約3219億円)。同社株主から現金で全株を買い上げて完全子会社化する。買収資金はルネサスの手元現金を充てる。インターシルの株主総会や各国の独禁法当局の承認を得た上で、2017年6月をメドに買収を完了する。インターシル取締役会はルネサスによる買収を全会一致で賛同しているという。
自動車や産業機械、スマートフォン(スマホ)など幅広い製品に不可欠な電圧制御用の半導体を製品ラインアップに加える。ルネサスは自動車や産業機械向けなどの特定分野で高いシェアを持つ「ニッチトップ」戦略を打ち出して再成長を目指す。
インターシルの電圧制御用の半導体は電気回路内の電圧を測定し調整する役割を果たす。ルネサスが軸足を置く車載用半導体の分野では自動運転や電気自動車(EV)の普及で車1台あたりの半導体搭載数が急激に増えており、インターシルが持つ信頼性の高い半導体の需要が高まる。さらに産業機械の分野でも電圧制御は必須で、顧客要望の高い製品をそろえて提案力を高める。
電圧制御用のアナログ半導体の分野は設計技術者のノウハウが生きる分野で後発メーカーが追い付くのが難しい。そのためアナログ半導体は現在も米国や日本企業が高いシェアを持つ。インターシル買収で事業規模を拡大するとともに安定収益につなげる狙いもある。