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『暮しの手帖を』つくった男

 

日々の暮らしを大切にする。

それは、とても大事なこと。

日々の暮らしを大切にすることで得られる幸福感はかけがえのないものだと、わたしは思う。

ここ何年か、仕事はそこそこにして我が家で”生活する”ことを中心にするようになってからは特にそれを実感する。

仕事中心の生活をしていた頃は、毎日のように終電で帰って来ていたし家事をしたくても気力がなくて最低限のことしかしていなかった。

そういう生活は、仕事がどんなに楽しくても心が満たされないというか・・・。

 

わたしにとって、いまは我が家のことに手をかけられる時間があることが、とってもありがたい。 

暮らしを大切にしていくことによって、こころも豊かになっていくように感じる。

 

 

きのう、「『暮しの手帖』をつくった男」という船瀬俊介さんの本を読んだ。

 

そして、『暮しの手帖』を創刊した花森安治という方の想いを知り、とても感動した。

 

こんな想いを持っていた人がいたのか!!という驚きの気持ちと、日々の暮らしの中でわたしたちにも何かできることが、きっとある!わたしたちにできることは、やっていこう!という気持ちになることができた。

 

 

花森安治さんは戦争を体験し、こうした悲劇をどうしたらなくすことができるかを、焼野原のなか考えていたのだという。

そして、「かんたんに動かない」人間(庶民)をつくらなければいけない。政府の言うまま、命ずるままに動く庶民がいたから戦争が起きた。

だから、「暮し」をなによりも尊重する庶民をつくる。

政治よりも、軍事よりも「暮し」を尊重し、どちらかをとれ、といわれたら「暮し」をとる庶民をつくらなければいけない。

 

花森安治さんのそういった強い思いがあり、『暮しの手帖』は生まれたのだ。

 

花森 われわれが、『暮しの手帖』という雑誌を始めたのは、そういうことです。

「暮し」が大切なんだ。

政治よりも、軍事よりも、経済よりも、文化や芸術よりも、なによりも先に、「暮し」が尊重されなければならない。

どちらかをとれ、といったら「暮し」をとる。そんな考えをみんなが、もつべきだ。

そのために『暮しの手帖』は、生まれた。

消費者運動とは、われわれの雑誌ができて、10年、20年もたってできた言葉なんです。そして、消費者運動は、人間の暮しを、ただ、ものを買っ、使う、という面だけでとらえている。

しかし、人間はね、ほかにも、いろんなことをしているわけですよね。

暮らすためには、買う、消費する以外にも、いろんなことをしている。

それらをぜんぶひっくるめて、「暮し」を守ろう。もっと、よくしていこう・・・。

船瀬 だから、『暮しの手帖』をつくった。

花森 そうです。日本の「暮し」は、戦争前は、自分たちも非常にケイベツし、政府もケイベツして、つくられてきたものです。

だから、非常に低いところにある。それを、もっと上げていく。そのために、この雑誌をつくった。

そのために、値だんをつけ、出版し、みんなに買ってもらう。見かけは、他の雑誌と同じ形をしています。

けれども、他の雑誌は、出版することが目的でしょう。読ませることが目的。

もっと、悪く言えば、お金をもうけることが、目的だけれども・・・(笑)

船瀬 『暮しの手帖』には、それ以上の目的がある。

花森 われわれが、『暮しの手帖』を出版する、ということは手段です。

みんなが読んで、「なるほど、そうか」とおもって、それを行動にうつす。

そのことによって、毎日の「暮し」を、少しづつ、よくしていく・・・というのが、目的です。

 

 

 

日々の暮らしの意義を、こんな風に考えた人は他にいるのでしょうか?

わたしは・・・大切だとは感じていたけれど、花森安治さんが考えるほどまでには考えたことはありませんでした。

だから、とても驚き、感動し、嬉しい気持ちになりました。

 

 

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