裁判所が韓進海運の資産保全に動き出し、10日(現地時間)、韓進海運のコンテナ船「ギリシャ号」が米ロングビーチ港で貨物を下ろしている。(写真=海洋水産部) |
裁判所の韓進海運資産保全処分命令を受け、航路営業権売買手続きは法定管理期間に中断されるとみられる。韓進海運は来月28日に出る三逸会計法人の調査報告書に基づき、11月25日までに裁判所に再生計画案を提出しなければならない。裁判所は調査報告書と再生計画案を総合的に判断し、11月25日以降に再生か清算かを選択する。
裁判所が資産売却にブレーキをかけた理由は、韓進海運の最終的な運命が決定するまで最大限に再生の機会を与えようという趣旨だ。キム・インヒョン高麗大法学専門大学院教授(海上法)は「再建に傍点を打ったというより、再建する場合に営業に必要な物的資産と無形資産を維持しようという意味のようだ」と述べた。
ここには韓進グループンの系列会社による韓進海運優良事業買収をめぐる論争も作用したとみられる。韓進グループは昨年から資金支援の名分で系列会社を通じて韓進海運の資産を買収した。(株)韓進が買収した資産だけでも1年間のアジア航路権をはじめ合計2351億ウォン分。他の系列会社の韓進KALも今年6月、韓進海運の米国・欧州商標権を742億ウォンで引き受けた。金融界では「韓進グループが法定管理を予想して優良資産を買収したのでは」という指摘が出ていた。
裁判所がこれを深刻に見なす場合、韓進海運が系列会社とした主要資産売却契約を無効にできるという意見もある。法定管理企業の資産が適正価格で売却されなかったと判断されれば、裁判所が法定管理人を通じて行使する「否認権」がその手段だ。
(株)韓進が昨年から買収した釜山(プサン)韓進海運新港湾(持ち株比率50%)、京畿道平沢(ピョンテク)コンテナターミナル(68%)、ベトナムタンカンカイメプターミナルなどが代表的な売却資産だ。韓進海運の法定管理人が資産売却に対して否認権訴訟を提起して勝訴すれば、資産はまた韓進海運の所有に戻る。
金融当局と債権団の雰囲気も微妙に変わっている。当初、債権団は韓進海運の清算を前提に船舶・人材などの資産を現代商船に吸収合併させる計画だった。しかし今は裁判所の積極的な動きで再生の可能性も念頭に置くべき状況となった。債権団の関係者は「今は資金支援が難しいが、再生が決まれば韓進海運の企業正常化のために法定管理企業貸出形態で新規資金を支援することができる」と述べた。
一方、政府は貨物運送に支障が生じる中小企業のために資金を支援することにした。産業通商資源部は11日、緊急輸出点検会議を開き、中小貨物運送斡旋会社に4000億ウォン規模の緊急経営安定資金を支援すると明らかにした。1社あたり5億-20億ウォン限度(年2.97%金利)で貸出する予定だ。
米連邦裁判所は9日(現地時間)、韓進海運の船舶に対する差し押さえ禁止命令(ステイオーダー)を出した。これを受け、ロングビーチ港湾近隣で待機中だった韓進海運所属の船舶4隻がターミナルに入港し、貨物を下ろした。