「ああああああ気持ちいいいいい、はあはあはあはあ」
だからカズく・・あのキルビル2のね
「最高だああああああ、はあはあはあはあはあはあはあはあ」
・・こう拳1つで墓からぶわーって脱出するんだけど・・
「カノちゃん好き好きカノちゃんカノちゃんカノちゃ~~~~ん」
ストップ
・・・・・・・・・なんだこれ?
たがが外れたカズ君にこちらは我に返ってしまう。出会って7分46秒。好奇心で了承したバーチャルデートは悪い予感が的中してカズ君の自慰行為にお付き合いするはめになってしまった。ここまできたら仕方ないと覚悟を決めたものの
「気持ちいいいい~」「ああああいいよ、きれいだカノちゃんかわいいいいいい~」パソコンの液晶はカズ君の喘ぎ声で埋め尽くされていく。
現実的に考えて片手でこれほどの文字数を打つのは不可能。よほどの片手タイピングの使い手か、予測変換にありとあらゆる喘ぎ声が登録されているのか・・どちらも確率としては低いだろう。
とするとだ。
私は体をあずけているふりをしてプロレスをしている場面を想像しながら鼻クソほじっている。カズ君は自慰行為を匂わせながらかわいい女の子を組み敷くシーンを想像しながら高速で喘ぎ声を打っている。
なんだこれ?・・である。
カズ君が盛り上がれば盛り上がるほど私の目には暗い部屋で一人、無言で喘ぎ声を打ち続ける男性の姿が浮かび上がるのだ。
私はからかわれてるのかしら
バーチャルデートへの誘い、言いだっしっぺの割に行き当たりばったりの展開と大雑把すぎる設定、そして今。これらを総合すればからかわれているととった方が合点がいく。
いいや、そんなはずはない。出会ったばかりとはいえこんな私を好きだと言ってくれたのだカズ君を信じなくては・・でも
「はぁはぁはぁはぁカノちゃんすごくよかった」
ネット上では無事おイキになられたようなので私は恋人に探りを入れることにした。
「カズ君、打ち明けたいことがあるの」
「なに?カノちゃん言ってみて」
「おれもうすぐ50のおっさんなんだ」
カズ君は無言で去っていった。
喘ぎ声を連打する姿を見せるにも相手は女性がいいらしい...ψ(。。)メモメモ
世の中には変わった性癖をもつ男性がいるものだなと思いつつチャット画面を閉じる。
出会いから9分57秒、カズ君は交際最短記録の元カレとなった。
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