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プロ野球の広島東洋カープが、25年ぶりにセ・リーグを制した。地方都市の…
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プロ野球の広島東洋カープが、25年ぶりにセ・リーグを制した。地方都市のチームが、努力と工夫で獲得したファンとともにたどり着いた栄冠である。
重視してきたのが、ファンを迎える球場のあり方だ。09年に誕生した新本拠マツダスタジアムの管理者として、米大リーグの球場を幅広く研究。寝転がって観戦するシートやバーベキューができるスペース、球場内を一周する通路沿いに配した多様な店舗など、新しいアイデアが詰まっている。
野球に縁遠かった人たちも楽しめるように――。観客は増え、関連グッズも売れて球団の経営を押し上げた。
広島の挑戦は、他のチームにも影響を与えている。東北楽天ゴールデンイーグルスは球場に観覧車やメリーゴーラウンドをつくった。横浜DeNAベイスターズは球場の運営会社を子会社にし、球団との連携を深めた。早朝のグラウンドをファンのキャッチボールに開放するなどしている。
人々の心をとらえ、地域の活性化にもつなげる。そうした意識ではサッカーのJリーグなどが先行してきたが、プロ野球でも不可欠になったと言える。
選手の獲得・育成でも、広島は独自の哲学を貫いてきた。「自前の若手選手を育てる」という方針だ。
1990年代前半、実績を残した選手が移籍する権利を手にするフリーエージェント(FA)制度が導入された。広島は特定の親会社を持たず、資金力に乏しいだけに、高い年俸を求める主力選手が相次いで他球団に流出。新人選手を獲得するドラフト制度でも、選手側が希望球団を表明できる「逆指名」が始まり、広島は割を食った。
ところが、それで多くの若手選手がグラウンドに立つことになった。さほど有名でもなく、野球選手としては年俸も高くない選手のあきらめないプレーに、若者や女性ファンが自らの生き方を重ねたという。スタジアムにかけつけたファンの声援が選手を育てた。FAでチームを去ったベテランの復帰や「逆指名」の廃止も追い風に、チームは低迷を脱した。
球団運営で広島との共通点が指摘される北海道日本ハムファイターズは昨年、「みらい創造ミーティング」を開き、経営状況の推移などをファンに伝え、より魅力的な球団のありかたを話し合った。新しい試みだ。
ファンに正面から向き合い、共感の輪を広げる。プロスポーツを活性化する基本は何か、広島の優勝が改めて教えている。
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