文化人類学者の加藤九祚さん死去 ウズベキスタンで

文化人類学者の加藤九祚さん死去 ウズベキスタンで
シベリアや中央アジアのシルクロードを中心に歴史や民族の調査を続けてきた文化人類学者の加藤九祚さんが、発掘のため訪れていたウズベキスタンで日本時間の12日未明、亡くなりました。94歳でした。
加藤さんは大正11年に朝鮮半島で生まれ、上智大学の予科に在学中に徴兵されて、終戦後、ソ連軍の捕虜になり、昭和25年までシベリアに抑留されます。
帰国後に上智大学を卒業すると、シベリア抑留中に学んだロシア語を使ってシベリアの歴史や民族の研究を始めました。

昭和50年には国立民族学博物館の教授になり、翌年、アイヌ民族の研究者として知られるニコライ・ネフスキーの生涯を書いた「天の蛇」で大佛次郎賞を受賞しました。
また、中央アジアのシルクロードの研究も手がけ、地域の情勢が安定しないことから発掘調査が進んでいなかったウズベキスタンの仏教遺跡などの調査にあたったほか、一般向けの著作も数多く出版しました。
平成11年に南方熊楠賞に選ばれ、平成23年には瑞宝小綬章を受章しています。

加藤さんは立正大学がウズベキスタンのテルメズで行っている発掘調査に同行していましたが、大学によりますと調査中に倒れて現地の病院に入院し、日本時間の12日未明、亡くなったということです。