熊本地震を受けて報告書案 「さらに耐震化促進を」

熊本地震を受けて報告書案 「さらに耐震化促進を」
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一連の熊本地震による建物の被害の原因を調べてきた国の専門家による検討会は、現在の耐震基準は、木造の建物の倒壊などを防ぐ効果はあったとしたうえで、古い基準の建物で特に被害が大きかったことから、建物の耐震化をさらに進めることが必要だなどとする報告書案を取りまとめました。
12日開かれた検討会の会合には、建築の専門家などが出席し、これまでの議論に基づく報告書の案が示されました。

一連の熊本地震で震度7の揺れが2度観測された熊本県益城町では、日本建築学会による調査で木造の建物1955棟のうち、297棟が倒壊や崩壊にいたったことが確認されています。
これについて検討会では、昭和56年以前の古い耐震基準の木造の建物で、倒壊や崩壊の割合が30%近くと特に被害が大きく、建物の耐震化をさらに進めることが必要だと指摘しました。
また、平成12年に見直された現在の耐震基準の建物でも7棟が倒壊したことについて、被害の要因が確認されたのはこのうち4棟で、3棟は柱などの接合のしかたが不十分だったことが、1棟は敷地の崩壊が、それぞれ原因と見られるとしたうえで、現在の耐震基準は、木造の建物の倒壊などを防ぐ効果はあったと結論づけました。

また、今回の地震では自治体の庁舎や避難所に指定されていた体育館などが壊れて使えなくなるケースが相次いだことを受けて、原因を詳しく調べ、どうしたら地震後にも使い続けることができるか、検討すべきだとしています。

国土交通省では今回の内容を受けて、今後、具体的な対策を検討することにしています。
委員長を務める東京大学の久保哲夫名誉教授は、「建物の耐震対策は国の目標にまで達しておらず、国土交通省にはどうしたら対策が進むのか、方策を検討してもらいたい」と話しています。