訪日外国人の消費の中身が変化している。高額商品の売れ行きが鈍り、購買単価は大幅に低下。“爆買い”から状況が一変したことで、インバウンド特需の終焉といった言葉もささやかれ始めた。だが、消費意欲そのものが衰えているわけではない。取材・文/高岸洋行 日本百貨店協会が発表した7月の外国人観光客の売上高・来店動向によると、調査対象の84店舗(外国人観光客誘致委員会委員店)の免税総売上高は前年同月比21.0%減の約146億3000万円となった。13年2月からプラス成長を続けてきたが、今年4月に39カ月ぶりにマイナスに転じて以降、4カ月連続で前年割れとなっている。マイナス幅も4月の9.3 % から、5月16.6 %、6月20.4 %、7月21.0%と拡大傾向にある。 しかし、客数はプラスを維持しており、7月も13.7%増と2桁の伸び。それにもかかわらず、総売上高が減少しているのは、ひとえに単価が下がっているからだ。1人当たりの購買単価は昨年10月の1.0%増を最後にマイナスに転じ、じわじわと減少幅を広げ、今年6月と7月はいずれも約30%も減少した。単価自体も5月に約5万7000円と5年10カ月ぶりに6万円を割り込み、以降は6万円台を回復できていない。