山口県美祢市で生まれ育った藤原結菜さん(14)。小学3年のとき、田んぼの横にあったコンクリートの側溝の中で、水に流されるカエルの姿を見ました。側溝に落ちたまま這い上がれず死んだカエルの姿も目にしました。
「なんとかしてカエルを助けたい...」。
結菜さんは試行錯誤の末、シュロの木の繊維を束ねて作る命綱「お助け!シュロの糸」を発明しました。
そして今、その発明は、国内の専門家や自然保護団体、さらには海外からも注目を集めています。さまざまな人との関わりを通して広がっていく彼女の世界を見つめました。
取材後記
ディレクター:田村康夫(山口放送)
「お助け!シュロの糸」を発明した藤原結菜さん。彼女は何の見返りを求めるでもなく、ただただ、側溝に落ちたカエルの命を救いたくて、5年以上研究を続けています。その優しい気持ちや継続力には頭が下がります。
私は2年前、小学6年生の彼女と出会って以来、たくさんのことを学ばせてもらいました。また、取材を続ける中で、彼女以外にも、側溝に落ちたカエルを救うことに真剣に取り組む人たちがいることを知りました。
私自身、田んぼだらけ、自然だらけのまちに生まれ育ったにも関わらず、30年以上知ることのなかった世界。自然と人間の共生のありかたを考えさせられる複雑な思いの一方で、発見と学びに満ちたその世界をひとりでも多くの人に伝えたいという気持ちにも駆られました。
「お助け!シュロの糸」の発明は、ひとつの通過点にすぎません。藤原さんとまわりの人たちは模索を続けています。「お助け!シュロの糸」の効果を最大限に発揮させるためにどうすればよいのか?他に良い方法はないのか?…パーフェクトな答えを知るのは、カエルだけ。〝カエルの気持ち″に近づくための日々は続いているのです。