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【iRONNA発】
信長の経済学 日本のファシズム化を阻止した「荒療治」 上念司氏
なぜなら、中世以前において、これら「経済のインフラ」を担っていたのは時の政権ではなかったからだ。室町時代末期の混乱で、全国を統一的に管理する「政府」がなくなってしまい、その機能を代替したのは主に地方の軍閥や寺社勢力である。
しかも、全国の物流拠点は寺社勢力によって牛耳られており、刀鍛冶を囲い込んだり、要塞のような寺院を建築したりして、文字通り有力な軍閥としてのさばっていたのだ。その中でも、比叡山延暦寺や石山本願寺はその経済力によって強大な力を持ち、武家政権とことあるごとに対立していた。
信長の功績は、これら寺社勢力に対して、徹底的な打撃を加えたことだ。憲政史家の倉山満氏によれば、世界には「軍国主義によって正気を保たないとファシズムになってしまう国」がたくさんあるそうだ。
経済の「政教分離」
ファシズムとは、国家の上に宗教や思想がある体制のことだ。今の中国は国家の上に党があるが、あれこそファシズムである。戦国時代の日本も寺社勢力を放置すれば、ファシズムになっていた可能性があった。しかし、信長は寺社勢力を殲滅(せんめつ)することで日本のファシズム化を防いだ。もちろん、その手法は「軍国主義によって正気を保つ」という荒療治だったが…。
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