ASEAN首脳会議 仲裁裁判めぐる踏み込んだ議論なし

ASEAN首脳会議 仲裁裁判めぐる踏み込んだ議論なし
ラオスで開かれたASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議は、南シナ海の問題をめぐって、法的拘束力を持つルールの策定に向けた交渉の加速化で合意しましたが、南シナ海での中国の主張を否定した仲裁裁判の判断について踏み込んだ議論は行われませんでした。
ラオスの首都ビエンチャンで開催されているASEAN10か国の首脳による会議は、6日に続いて7日も南シナ海の問題が、焦点となりました。
会議のあと発表された議長声明によりますと、ASEAN各国は、南シナ海の問題について、国際法に基づく解決が重要だという認識で一致し、法的拘束力を持つルール、「行動規範」の策定に向けた交渉を加速させることで合意したということです。具体的な時期については明示されませんでしたが、インドネシア政府によりますと、来年の中頃までに枠組み合意を目指すことで一致したということです。

一方、南シナ海での中国の主張を否定した仲裁裁判の判断をめぐっては、ASEAN各国の間に意見の隔たりがあることから、踏み込んだ議論は行われず、議長声明でも触れられませんでした。ただ、フィリピン政府の当局者は、記者団に対し、「ドゥテルテ大統領は、仲裁裁判の判断について直接言及はしなかったもののこの判断を含む意味で国際法の重要性を強調した」と述べました。

7月の外相会議では、フィリピンなど中国との領有権問題を抱える国とカンボジアなど中国が強い影響力を持つ国の間で対立が表面化しましたが、今回は、全会一致を原則とするASEANの結束を優先した形となりました。