安保理、再び非難報道声明 中国抵抗せず
【ニューヨーク國枝すみれ】国連安全保障理事会は6日午後(日本時間7日午前)、緊急会合を開き、北朝鮮による5日の弾道ミサイル発射を「強く非難する」報道声明をまとめた。理事国15カ国が内容に合意し、会合開始から3時間で発表に至った。中国・杭州で主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開催されている中での発射は、議長国の中国の顔に泥を塗る形となり、中国もこれまでと違い抵抗しなかった模様だ。
声明は、北朝鮮のミサイル発射を、これまで採択された安保理決議に対する「重大な違反」と非難した。また、すべての国連加盟国に、北朝鮮への制裁を決めた3月の安保理決議の着実な履行を改めて呼びかけた。
6日の緊急会合は日米韓が招集を要請。会合後、会見した日本の別所浩郎国連大使は「すべての国がミサイル発射を強い言葉で非難した」と述べ、これまでより強い連帯の意思が安保理に醸成されていると強調した。
報道声明は法的拘束力はないが、安保理理事国15カ国すべてが合意する必要があるため、北朝鮮に対し、国際社会の一致した意思を示すことができる。
安保理は6月23日の報道声明を最後に、8月26日まで報道声明をとりまとめることができなかった。ロシアと中国が、米軍の最新鋭迎撃ミサイルシステム「終末高高度防衛(THAAD=サード)ミサイル」の在韓米軍への配備や、米韓の軍事演習も緊張を高める要因だと主張し、北朝鮮だけを非難することに抵抗したためだ。
しかし、8月24日の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射の際は、2日後に発表にこぎつけた。中国・杭州でのG20首脳会議開催を直前に控え、国際社会との協調姿勢を示す必要性に迫られた中国は、安保理が「朝鮮半島と周辺の緊張緩和に向けて努力する重要性を強調した」との一文を声明に盛り込むことで妥協した、とみられていた。
5日に日本海に向けて発射された弾道ミサイル3発は、約1000キロ飛行し、北海道奥尻島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)に落ちた。