トップ > 中日スポーツ > プロ野球 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【プロ野球】

黒田も涙の胴上げ 25年分の思い込め魂の86球

2016年9月11日 紙面から

胴上げされる黒田(武藤健一撮影)

写真

◇広島6−4巨人

 野球の神様の粋な計らいか。巡り巡って、広島の悲願が懸かったマウンドに上がったのは、大黒柱の黒田だった。25年分の思いを込め、一心不乱の力投。魂の86球は歓喜につながった。

 「きょうで投げられなくなってもいいと思った。最高の仲間で優勝できた。25年間、長かった」

 1回に2ランで先制を許したが、抜群の制球で立て直した。4回には味方が死球を受けて激高。湧き上がる闘争心を力に変えた。6回1死一、二塁では村田を149キロで空振り三振。貫禄を見せつけた。

 大リーグでの地位を捨てて古巣に復帰し、2年目。今や広島の象徴となった。「ずっと優勝経験がないと言われてきた。若い選手にとって大きな経験になればいい」。真っ先に後輩を思いやるのが黒田らしい。「やっと一つ達成できたかな」と肩の荷が少し下りたように息をついた。

 万全の状態で登板することは難しくなった。中6日を「ギリギリ」とこぼした。それでも降板を申し出たことはない。4月2日・巨人戦で、41歳以上では史上4人目となる完封勝利。5月には頸部(けいぶ)の炎症で出場選手登録を抹消されたが長期離脱を回避した。中継ぎ陣の負担軽減にも配慮し「休める日があるのと、ないのとでは全く違う」という。

 黒田と新井、チームを支えた2人のベテランは仲間たちの手でそれぞれ5度宙を舞った。「昔からは想像できない。特に新井とはこのチームを強くしたいと言っていた」。苦楽をともにした盟友と抱き合った時、こらえていた感情が涙となってこぼれ落ちた。

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ