あらすじ:世界崩壊の危機が到来。政府は、最強のスナイパーであるデッドショット(ウィル・スミス)や、ジョーカー(ジャレッド・レトー)に夢中のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)ら、服役中の悪党たちによる特殊部隊“スーサイド・スクワッド”を結成する。命令に背いた者、任務に失敗した者には、自爆装置が作動するという状況で、寄せ集めの悪党たちが戦いに挑む。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ/カナダ 上映時間:123分 製作年:2016年
監督・脚本:デヴィッド・エアー
キャスト: ウィル・スミス / ジャレッド・レト / マーゴット・ロビー / ジョエル・キナマン / ヴィオラ・デイヴィス / ジェイ・コートニー / ジェイ・ヘルナンデス / アドウェール・アキノエ=アグバエ / アイク・バリンホルツ / スコット・イーストウッド / カーラ・デルヴィーニュ / アダム・ビーチ / 福原かれん 等
悪党が寄せ集められて悪に立ち向かう!
アベンジャーズなどの『マーベル・シネマティック・ユニバース:MCU』みたいに、【マン・オブ・スティール】から始まり【バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生】と来たDCコミック系列のシリーズ化『DCエクステンデット・ユニバース:DCEU』の第3弾となる【スーサイドスクワッド】。
DCEUの過去2作は興味湧かなくて観てないんだけど、本作は【エンド・オブ・ウォッチ】【フューリー】のデヴィッド・エアーが監督を務めたということと『寄せ集められた悪党が悪に立ち向かう』という男心をくすぐる題材で俄然気になって、3D字幕版で観て来ました。
今回は軽くネタバレしてます。感想は、
うーん、なんか勿体ないっ!!!
あのバットマンの宿敵ジョーカーなどの魅力的なキャラクターや、寄せ集められた悪党が主役という美味しい題材を揃えながらも、それを魅力的に動かす『脚本』がちょっとガサツというかと甘くて、決して満足行くような出来ではなかった。
デヴィッド・エアーでもコイツ等を扱い切れなかったかぁ...という感じ。
すでにTwitterや評価サイトでも酷評&低めの評価の声が聞こえてますが、とは言え、個人的には魅力的なキャラクターたちのおかげでさほど悪い印象は持ってないです。
サクサク進む前半は好き!!!
金をかけた派手なB級映画として観ればそれなりな面白さだと思う。と言うのも、使い捨ての悪党チーム/自殺部隊(字幕は決死部隊だったかな?):スーサイド・スクワッドのキャラ紹介とメンバーが集った初々しい前半部分は結構好きで、「イイじゃん!」とテンション上がったのは確か!
デヴィット・エアー分かってんな!このベタにケレン味あるクセ者たちのキャラクター紹介VTRがワクワク度を高める。
初めましてなキャラが多いだけに、このクセ者達がどんなスキルも持ってて・どんな危ない奴なのかを冒頭でパパパッと紹介するカマし演出と展開のスマートさは結構好きですね。ちゃんと紹介の時にドクロをモチーフにしたあの可愛いアイコン使ってんじゃん!
ただ、その後発覚するヴィラン(悪役/敵役)の登場というか事の発端が【アベンジャーズAOU】を想起させる『内輪の尻拭い』だったことにはかなりガッカリした… まぁでも百歩譲って悪党のコイツ等にはまずミスったお偉いさんの尻拭いくらいの任務の方が合ってのるかもね。贅沢は言えない!
クセ者揃いなキャラクターたち!
特に、ウィル・スミス演じるデッドショットと、マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインの2人が良かったね!一度ガッツリ共演もしてる【フォーカス】コンビがノリノリで。この2人がパッとしないストーリーを強引に引っ張って行ってくれた。彼等が演じてなかったらトンデモ無い肩スカし映画になってましたね、それこそ憤慨ものの。
マーゴット・ロビー、ようやく代表作となるハマり役と出会えたね!完璧なキュートさと誰にでもフランクなスタンスが最高!ウィル・スミスも自身が内包してる根っこの優しさがキャラにちゃんと活かされてたね。
あと、手から炎を出すいじられキャラのディアブロなんだけど、キン肉マンのおでこの『肉』の字みたいに、画面に写ってないところでキャプテン・ブーメラン辺りに『スーサイド・スクワッド』の『ス』の文字をマジックでおでこに書かれたのか?!と思って観てる間ずっと『ソレ』が気になってたんだけど、観終わって写真で確認したら鎌のタトゥーでしたね… そんな所に『鎌』彫るか!? それは良いんだけど。
他にもリーダーであるリッグ・フラッグ大佐が狙われてるってよりかは一番弱くて、みんなが必死にアシストする可愛さとか、【GANTZ】の爆破ルールを感じさせる『かませ犬』としてのアイツの死とかイイよね。あれがあるのと無いのとじゃ違ってくる!
ヒース版ジョーカーとジャレット版ジョーカーの比較!
ジャレッド・レトが演じたジョーカーも本作、出番は少ないながらも異質な存在感を放っていてかなりかっこ良かった!
ヒース・レジャーが演じたジョーカーは、デカイことを成し遂げる革命家 兼 ある種死神みたいな、どこか『絶対的』な雰囲気があったんだけど、
今回ジャレッド・レト演じたジョーカーは、街で1番イカれてる予測不可能な要注意極悪人みたいな、一歩扱い方を間違えば死に繋がる毒蛇のような鋭さと緊張感を与える男で、キャラとしてすごく漫画然として好きだな。
左手に彫った口のタトゥー然り、身に付けてるアクセや服装もオシャレでセクシー!それでいて彼女のハーレイ・クイン救出のために結構頑張る!
一番グッと来たのは、凶器を並べてその真ん中で寝転ぶシーンで、奥の方に凶器と混ざってベビー服が置かれてるのを見た時に「コイツ… 半ば洗脳的に惚れさせといて、お前もガッツリ惚れてるじゃないか!」と思って彼のギャップに惚れてしまった。
そのシーンで、彼女がいない事で息が荒く汗をかいてる姿がどこかジャンキーみたいで『ハーレイ・クイン=麻薬のように中毒性のある女』『もはやジョーカーには無くてはならない存在』的な意味合いを感じて、そこも合わせて良いなと。ハーレイ・クインとのクレイジーなラブロマンスをもっと観たくなる。
力の差と小賢しい感動
序盤は楽しんだものの中盤から終盤に行くに従って、否応無く減点制を取らざる負えないくなくなっていく。事の発端が『内輪の尻拭い』の件はまぁ良いとしても、
雑魚キャラが黒いし時間帯が夜だしよく見え難いなぁとか、ウォーラーのエンチャントレスの扱いが緩いなぁとか、オフビートなノリがあまり上手く機能してないなぁとか、ヴィランのデザインの既視感とダサさとか、染みったれたり・やる気になったり・急に仲良くなったり・気持ちがチグハグだなぁとか、ディアブロがラストあぁなるのを見越して、逆算して悲惨な過去を持ってきたのか?とか気になるところは色々と出てくる。
あとはやっぱり、これはDCEU節なのかな?メタヒューマン(超人) vs 普通のちょっと強い人間との闘いはやっぱり無理がある。アベンジャーズは超人vs超人級とか同等の力だからこそバトルが成立してるんであって。
本作力の差は歴然だし、瞬間移動を使いこなすアイツに何が効いて何をやれば倒せるのか、そのために今チームで一体何をやろうとしてるか?分かりにくよね。ぼけーっと事の顛末を見守るしかなくて。
刀の攻撃やあの渦巻いてる物体向けての爆弾投げとか「やってみたら運良く効いちゃった!ラッキー!」くらいにしか見えなくて、ラストのバトルは気持ち盛り上がらなかったなぁ。
それに加えてクライマックスの、デッドショットの脳裏に娘が出て来くる葛藤のシーンだけど、どうみてもこのシーンは冒頭の葛藤と意味合いが違うじゃん!?
なんか終盤、小賢しい感動を無理くり盛り込もうとして失敗してるなぁとういう印象でしたね。
デヴィット・エアーがこの手のエンタメな大作が苦手なのか?悪党に振り回され制御仕切れなかったのか?お偉方に引っ掻き回されたのか?その辺は分からないけど、MCUを観てる人からしたら、この出来じゃなかなか満足はし辛いんじゃないかな。
美味しい素材と面白い前半から一転して終盤の尻窄み感は監督の過去作【サボタージュ】と同じような匂いを感じました。ただし続編はめげずにやって欲しい!セクシーなジョーカーをもっと観たい。
まとめ
良かった点
- 『寄せ集められた悪党が悪に立ち向かう』という題材
- 序盤の悪党達のグラフィカルな紹介VTR
- チームのなんとなくのバランスとぎこちないコミュニケーション
- ジャレット・レト演じる新たなるジョーカーの誕生
悪かった点
- 事の発端がノリにくい『内輪の尻拭い』
- ヴィランとスーサイド・スクワッドとの圧倒的力の差
- ヴィランの雑魚込みのデザインのイマイチ感
- 後半とくに脚本がグズグズになってしまう
評価:★★★ 普通に楽しめました。
まぁ予告編から期待するようなハードルは越えてくれなかったけど、素材はとてもイイのでもう一度別の形で彼等に会いたい!そう思わせるだけの映画ではありました。音楽の使い方もそこまで気にならなかったかな。
DCEUがこれからさらに発展していくのを考えると、過去の2作も観ないとなぁ。てかスーパーマン惹かれねぇ...
[ 予告編 ]
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これも最初から力の差が見えちゃって惹かれないんだよな。評判は良くないけど観てみよう!
フォーカス
いまいちマーゴット・ロビーがハマっていなかった詐欺師を扱った恋愛映画!
デヴィッド・エアー監督・シュワちゃん主演作!個人的にはかなり好きな作風!