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あうすどいちゅらんと

ドイツの音大でトランペットを勉強中の齋藤友亨が綴るドイツのこと

ブログがきっかけでNHK第一ラジオ「ちきゅうラジオ」に出演しました

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先日宣伝させていただいたNHK第一ラジオの「ちきゅうラジオ」のワンコーナー、 

「ちきゅう人バンザイ!」の生放送に出演させていただきました!

www.tomotrp.com

この記事はたんなる報告のつもりだったんですが、ほんとにたくさんの方から応援のメッセージをいただいて、ブロガーのつながりていいな…!って感動しました。

 

 

当日の流れ

16時前くらいにNHKについて、ディレクターさんに電話して玄関口まで迎えに来ていただきました。

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入館証をもらって改札みたいなやつを通りました!芸能人気分!w

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そこでまずはスタジオに入ってトランペットのマイクチェック。

ここでまず誤算があり、渋谷に早く入ってカラオケで30分くらい音出しをしておこうと思っていたんですが渋谷が混みすぎてカラオケに全く入れず音出しが全くできませんでした。笑

全く音出ししないでいきなりピッコロトランペットで曲を吹きました。w

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マイクの高さや位置を調節してからアナウンサーさんと打ち合わせ。

とても和やかで優しいアナウンサーさんで、ここでもいろんなお話をして緊張が解けました。

 

それで番組は17:05から始まっていたので外で待っていて

17:30からの自分の出番からスタジオに入りました。

 

そこでいきなり曲の紹介をしてからトランペットヴォランタリーの冒頭を吹きました。

youtu.be

それから15分ほどインタビューを受けました。

 

内容は放送前にまとめた原稿を参考までに載せておきます。

結局はこの原稿とは全然違う内容を話していましたが。笑

 

インタビュー

Q1.ドイツではどんな生活を送るんですか?

 

●レッスン

僕は学部生なので、トランペットや室内楽のレッスン以外にも、音楽理論やソルフェージュ、音楽学や音楽史などの授業もあります。
トランペットはフランクフルト国立歌劇場のドミニク・リング先生に毎週1時間15分の授業を受けていて、毎週クラスのおさらい会では教授であり元フランクフルト放送響主席奏者だったヘルムート・エルプに聴いてもらって講評をもらいます。


2週間に一度ジャーマン・ブラスのヴェルナー・ヘックマンのトランペットアンサンブルのレッスンもあります。
それに加えて毎週2時間ほど金管十重奏の授業もあります。


座学系の授業は非常に過酷で、ドイツ人でもみんな訳がわからないという音響学などの内容をもちろんドイツ語で受けなければなりません。

試験は特に厳しくて、ドイツ語の間違いも容赦なく減点されるのでもはや不可能というレベルです。僕は友達のノートを一字一句すべて丸暗記して乗り切りました。
さらに毎週3時間ドイツ語の授業もあります。

 

●休みの日は、別の街まで演奏会を聴きに行ったりすることも多いです。

以前ベルリンに住んでいたこともあり、よくベルリン・フィルを聴きに行ったりしていました。

ドイツではクラシック音楽はとても身近な存在で、日本ではとても聴くことのできなかったオーケストラがいつでも安く聴けるので本当に素晴らしいです。

チケット代はびっくりするほど安く、ベルリン・フィルの立ち見は1000円ほど、オペラなど観に行っても学生券なら基本的に1000円ほどです。

劇場によっては無料です。ヴュルツブルクはドイツのちょうど真ん中あたりにあるので、いろんな街まで行きやすいのもいいところです。


●一般の人のクラシックに対する素養が深いのもドイツのすごいところです。ベルリンに住んでいたころ、森の中でトランペットを練習していました。

ランニングしている人も多い所だったので、よく人が立ち止まって聴いてくれたり拍手を送ってくれることもありました。


●そんな中で一度「いい音だねぇ」駆け寄ってきた男性が、ベルリン・ドイツ交響楽団のトランペット奏者だったということがありました。

また家でトランペットを練習していたら、「いい音が聞こえてきたので訪ねてみました。私はここの近くの教会のオルガニストなんですが、今度の礼拝で一緒に演奏してくれませんか。」とお仕事をもらったりと、日本ではできないような体験をたくさんしました。

 

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Q2:どうしてドイツでトランペットの勉強をすることになったのですか?

 

僕はとても幸運で「トランペットを始めたい」と思った瞬間に、家から10分程のところに神代修先生という日本を代表するトランペット奏者であるすばらしい先生がお住いなことを知り、偶然にも友達が先生に習っていたので紹介してもらいました。


友達から少しは教わっていたものの、先生はほぼ初心者であった僕をにも快くレッスンを毎週してくださりました。

先生はウィーンに留学されていて、その話もよく聞いていましたし、バレエでロシアに留学していた兄のことを見ていたので、卒業後は留学したいとは思っていました。


そうして日本の音大に入学し、素晴らしい先生方とハイレベルな先輩と同級生に囲まれて一生懸命勉強していましたが、ドイツへ留学されていた先輩方に留学の話を伺ってみると、「来るなら早くから来てドイツ語からドイツの吹き方から慣れておいたほうがいい。成功している人の多くは若くしてきている。」
とお話されていました。


そこで、神代先生や大学で師事していた津堅先生にご相談したところ、同じく「行くなら若いうちから行ったほうがいい。」
とおっしゃっていたので一度ドイツへ観光も兼ねてレッスンを受けに行きました。
その時にたくさんの演奏会に行ったり、留学生の皆さんとお話をした時に
「早くドイツにきてこの環境で、ドイツの文化の中で、ドイツ語を話して音楽の勉強がしたい」という思いが強まり、大学を中退してドイツに行く決心をしました。


そして高校生の頃より地元でお世話になっていたベルリンに留学していた秋山りほさんという今ではゆずとPVで共演したりと大活躍の先輩に、ベルリン国立歌劇場のライナー・アウアーバッハ先生を紹介していただき、ヴュルツブルクに受かるまでの間、週に2回ほどレッスンをしていただいていました。

 

Q3:トランペットを学ぶ上でどんな苦労をしていますか?

 

トランペットは他の楽器に比べて種類がとっても多い楽器なんです。
長さの少しずつ違うトランペット、B管、C管、Es管、ピッコロトランペット、その他にも、コルネットという楽器やフリューゲルホルンというというものまでトランペット奏者が演奏します。
そしてバロック・トランペットっという古楽器もやらなければならないこともあるんです。
バロックトランペットというのは14世紀から19世紀に使われていた、現在のシステムが発明される前のトランペットで、言ってしまえばただの金属の筒です。
唇の振動のみで音の高さを変えて、リコーダーの孔のようなものを使って調節します。

ヴュルツブルク音大ではハンネス・ルックスというとても有名な先生がバロックトランペットを教えていて、僕達モダンのトランペットの学生も副科でレッスンを受けることができます。

トランペットではありますが楽器の長さも口につける部分の形状や大きさも違いますし、昔の楽器なので演奏はとても難しく、正しい音程を出すことが特に困難です。
しかし管が長い分とても柔らかい独特な音がして、他の楽器ともよく調和して、特にトランペットアンサンブルをした時の豊かな響きはモダンでは出せない音なんです!
興味を持たれたらぜひ検索してみてくださいね。

  

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Q4:先生と学生の間の雰囲気は日本と違う感じですか?


●先生と生徒の関係性に対する考え方も大きく違います。

日本では師匠と弟子というのは上下の関係ですが、ドイツでは基本的に「チーム」という感じです。

先生のことを名前で呼びますし、口のきき方も同格の、友達のように話します。トランペットの何がどう吹けなくて、ここを良くしたいということを素直に相談できます。

 

ドイツでは、どんなに有名なトランペット奏者でも生徒をオーケストラに入れられないと、「教師としては優秀ではない」という評価になるので教授達も生徒をうまくしようと必死です。ある意味対等な関係なので、みんなもちろん尊敬はしていますが、変にへりくだったり気を遣うことなく学ぶことができます。日本とそこが違うと思います。


Q5:一番生きがいを感じる瞬間はどんなときですか?


なんといっても人に演奏を聴いてもらって喜んでもらえた時です。
今年の3月にホール主催で地元の仲間と一緒にトリオリサイタルをさせていただいたんですが、自分たちで作り上げた演奏会でお客さんが喜んでくれて、大きな拍手をもらえるということがとてもうれしかったです。

 

そしてもちろん僕はトランペット吹くということそのものにも喜びを感じます。一人で練習している時も、誰かと一緒に演奏する時、特にオーケストラの中で演奏している時に「音楽をやっていてよかったな」とこの上ない喜びを感じます。
それにはもちろん聴いてくれる人がいたら一番嬉しいですが、一人でやっていたとしてもそれは楽しいんです。

 

 Q6:ドイツでトランペットを学びに来てやはりよかった、と感じたことはある?

 

なんといっても世界トップレベルのオーケストラの演奏をとても身近に聴くことができること。そんな世界的なプレーヤーも楽屋まで「レッスンしてください!」とたずねれば快くレッスンしてくれます。

 大学の先生は、学校のホームページに記載してあるメールアドレスに簡単な自己紹介を書いたメールを送れば、全く面識がなくてもほとんどの先生がレッスンしてくれます。

僕はドイツだけで22人のレッスンを受けました。


Q7: 齋藤さんさんの今の夢、将来の計画は?


将来の夢はトランペット始めた時からずっと変わらず、プロになることです。
一番の夢はオーケストラのトランペット奏者になること。
ドイツのプロのオーケストラの中で演奏できるようになりたい。というのが留学し始めてからのずっとの目標です。


ドイツに来て圧倒的な才能を持つ人達に打ちのめされ続けていますが、ドイツの国立大学で音楽をさらに勉強させていただけることになっているからにはとにかく音楽に真摯向き合って、とにかくどんなに少しずつでも上達していけるように精進していきます。

 

実際は全然原稿と違う感じになりました。笑

がんばって書いたのでここにでもあげさせてもらおうと思ってあげちゃいました。

 

ちなみに今週一杯はネットで聴くことができます!

www.nhk.or.jp

聞き逃してしまった人はこちらからどうぞ。

 

収録が終わった時にアナウンサーさんと写真をとっていただきました!そさら

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