「コードネーム」はドイツ年間ゲーム大賞2016に選ばれたという、いわばお墨付きの名作である。
極秘任務:
スパイマスターのヒントを手掛かりに、敵対組織より先に味方のエージェント全員と接触せよ!
2つの敵対するスパイ組織がある。各組織のスパイマスターは、25人のエージェント全員の正体を知っている。
君たち現場諜報員は、エージェントたちのコードネームしか知らない。
君たちの目的は、相手の組織よりも先に味方のエージェント全員とコンタクトを取ること。
スパイマスターは、自分の組織のエージェントのコードネームに関するヒントとして、単語1つだけを言うことができる。1語で複数のコードネームのヒントを表現することも可能だ。
これを手掛かりに組織の部下たちは、敵のエージェントに接触することなく、味方のエージェントを探し出さなければならない。
ただし、1人だけ紛れている「暗殺者」には絶対に触れてはならない。
「コードネーム」は、ヒントから正解の言葉をみつける、勝っても負けても楽しめるパーティゲーム。
ゲームの特徴
・登場するコードネームは全400種類!
・2人から多人数でもプレイ可能な、チーム戦形式のパーティゲーム!
・チェコのヒットメーカー、ヴラーダ・フヴァチルの2015年話題作の日本語版!
プレイ人数:2~8人以上(競技制重視の場合4人以上)
プレイ時間:15分
対象年齢:14歳以上
ゲームデザイン:Vlaada Chvátil(ヴラーダ・フヴァチル)
このゲームを紹介するときに「スパイのゲームです」と言ってしまうのはやむを得ないが、正直なところ「NHKの連想ゲームです」と言ってもらった方が分かりやすい。「そんな番組は知りません」と言われたらお終いだが……。
審査委員会は「1回遊べばすぐ2回目、3回目、4回目と遊びたくなる。この連想ゲームにはやめられない魅力がある。できるだけ多くの言葉を1つの概念で描写し、敵チームの言葉を含めないというチャレンジはなぞなぞのようで、何としてでも解きたくなる。チーム戦ではあるが、2~3人用のバリアントルールもよく出来ている。言語で遊ぶのが好きならば、このゲームが大好きになるだろう。」とコメントしている。
この↑レビューでも、知ってか知らずか「連想ゲーム」という言葉がチラッと出てくる。それほどまでにやっていることが「連想ゲーム」なのである(中田喜子がボスで、檀ふみと一緒にチームを組みたいです)。
しかし別に盗作だとかつまらないと言っている訳ではなくて、初心者でもすぐにルールや醍醐味を理解できるという意味でも、飽きずに何度でもできそうという意味でも、かなりレベルが高いという印象だった。
敵チームのヒントや考え、相談内容がほぼ筒抜けなので、わざと横から余計なアドバイスを与えて混乱させたり、敵チーム用のヒントを逆用したりもできる。何より皆であれこれ推理したり、憶測したり、意外な指摘に驚いたりする過程が楽しくて仕方がない。
戦略としては、まず「1ヒントで1ワードを手堅く置きにいく」方法がある。自分が実際に出したヒントは「ソーダ」で、「レモン」を当ててもらい、「たけし」で「ビート」を当ててもらうといった平凡さで、実に手堅い。
本当は「1ヒントで2ワード以上を当てさせる」という離れ業を何回かすれば勝てるのだが、そこで少しでもミスをすると、その後の展開にまで悪影響を及ぼす(一度言ってしまった言葉は取り返しがつかない)。時間経過と共に汚点が大きくなっていくという展開は避けたい。また絶対にこれを踏んだらまずいという、地雷(殺し屋)もあるので、そこを避けるという縛りもある。
難点は、ヒントを出す役をこなすのが難しい点で、まず直接の話ができないし、視線や表情に出すのもダメとされているため、トラブルになる可能性は高い。ヒントを出すのもうっかりミスで致命的なことを言ってしまったり、当てる側もうっかりしてカードを触ってしまったりする事故もあるので、大人同士で楽しむにはいいが子供ばかりの集団だとトラブル必至と言っても過言ではない。
上記のトラブルを周到に避けるように、うまく持って行く指導者がいれば子供でもきっと楽しめる筈だし、中高生には「勉強」としても「コミュニケーション」としても有効である。
大人もたとえば新しい職場の顔合わせ的な機会にこのゲームを使えば、おそらく飲み会よりも楽しめる筈だし、勝っても負けても、「嬉しい」「悔しい」という感情より「めちゃくちゃ楽しかった」「面白かった」という印象の方がずっと強い。