代わりの船舶を探してようやく香港まで輸送し、到着した資材を緊急手配のトラックで生産工場まで運んだ。エスケルグループのケント・テ部門長は「生産工程が一週間も遅延した。納期日までに完成品を米国や欧州に輸送するためには航空便を使わざるを得ない」と嘆いた。
ブラックフライデーやクリスマスなどのビッグセールを前に商品の輸送が遅延し、世界の流通企業が被害を訴えている。さらに韓進海運の法定管理申請後は海運の運賃が50%以上も急騰し、流通・製造企業の業績にも影響を及ぼし始めている。
ウォルマートやJ.C.ペニーなど大手流通企業でつくる米国小売事業者経営者協会(RILA)はこのほど、米国商務省に対し「物流の混乱とそれに伴う被害を最小限にとどめるため、韓国政府やその他の利害関係者と共に努力してほしい」と要請する文書を送付した。
多くの国々を巻き込んだ世界的な物流混乱であるだけに、解決にも相当な時間を要するとみられる。米国農務省は7日「韓進海運の破綻による港湾運営の混乱は、解消されるまでに最低でも2-3か月はかかる見通し」とのリポートを発表した。時間が経過するにつれ被害は拡大し、船主らは個別に対応に乗り出している。サムスン電子などは米国の破産裁判所に対し「韓進海運が払うべき荷役費をこちらで負担するので、港に接岸しても差し押さえないでほしい」と要請している。
こうした中、米国の破産裁判所は9日(現地時間)、韓進海運の「破産保護申請」を受理するかどうかの最終決定を下すために審査に入った。米国で活動するキム・ジンジョン弁護士は「1986年に米国の海運会社『U.S.ライン』が倒産した際には最終的な解決までに3年かかった」として「さまざまな国の法的問題を解決せねばならず、大きな困難を伴うだろう」と指摘した。