国連安保理「核実験は決議違反」北朝鮮を強く非難する声明

国連安保理「核実験は決議違反」北朝鮮を強く非難する声明
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北朝鮮による核実験を受けて開かれていた、国連の安全保障理事会の緊急の会合は、日本時間の10日朝、核実験が安保理決議の明白な違反だと非難する報道機関向けの声明を発表し、安保理は北朝鮮に対する追加の制裁に向け協議を続けていくことになりました。
北朝鮮が9日に5回目の核実験を行ったことを受けて、国連安全保障理事会では9日午後(日本時間10日朝)、日本などの要請に基づいて、非公開の緊急の会合がおよそ1時間にわたって開かれました。
会合のあと、議長国ニュージーランドのボヘメン国連大使は記者団に対し、核実験が安保理決議の明白な違反で、国際社会の平和と安全を脅かしていると非難する、報道機関向けの声明を発表しました。
声明はさらに、安保理が直ちに北朝鮮に対する追加の制裁に向けた取り組みを始めるとしており、今後、新たな制裁決議の採択に向け協議を続けていく方針です。
日本の別所国連大使は記者団に「追加的な措置を議論することに反対する国はなかった。日本は新しい措置を含む決議の採択を目指す」と述べました。
一方、中国の劉国連大使は核実験には反対したうえで、「すべての当事者は互いに挑発したり情勢を悪化させたりするいかなる行動も慎むべきだ」と述べ、改めて制裁に慎重な姿勢を示しました。
安保理はことし3月、北朝鮮との天然資源の取り引きを制限するなどの厳しい制裁決議を採択しましたが、核開発に歯止めをかける有効な措置を打ち出せるのか、注目されます。

日本・韓国・中国の国連大使の発言

国連の安全保障理事会の緊急会合のあと、日本と韓国の国連大使がそれぞれ記者会見をしました。

このうち日本の別所浩郎大使は、「日本としては、追加の措置を含む新しい決議の採択を目指す。安保理が北朝鮮に強いメッセージを送るための強力な措置を作りあげることを希望する」と述べ、これまでよりもさらに厳しい決議の採択に向け働きかけていく考えを示しました。

また、韓国のオ・ジュン(呉俊)大使は「もし北朝鮮による常軌を逸した挑発を止められなければ、私たちの地域は直接の脅威にさらされ続ける。多くの選択肢が残されていないのは誰にでもわかることだ」と述べ、安保理に対して断固たる対応を求めました。

一方、会合の途中で退席した中国の劉結一大使は、記者団に対し「核実験に反対する。朝鮮半島の非核化、核拡散を防止を確かなものにして平和と安定を保つために協力することは、これまでになく急務になっている」と述べる一方で、「すべての当事者は互いに挑発し合ったり、情勢を悪化させるおそれのあるいかなる行動も慎むべきだ」と述べ、追加制裁に向けた議論が先行することに懸念も示しました。

ロシア ラブロフ外相 自制呼びかけ

ロシアのラブロフ外相は訪問先のスイスで行った記者会見の中で、「核拡散防止体制を破壊し、平和と安全を脅かすような行為は許すことは出来ない」と述べ非難しました。
そのうえで「われわれは北朝鮮の指導部の危険で冒険的な行為を非難するが、さらなる緊張の高まりをもたらしたり、この地域を武力衝突の瀬戸際に追い込んだりするような行動は控えなければならない」と述べ関係国に対し、改めて自制を呼びかけました。

ケリー米国務長官 制裁の手を緩めるべきでない

アメリカのケリー国務長官は訪問先のスイスで行った記者会見の中で、「北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長がすべきことは、非核化に向けた姿勢を示すことだ。しかし残念ながら、彼がとっている行動は、その真逆であり、核実験やミサイル発射を繰り返し地域の脅威となっている。彼自身の行動で、さらなる孤立を招いている」と述べ、北朝鮮を強く非難しました。
そのうえで、「核開発問題を抱えるイランに対しては、われわれが、長年にわたってイランへの経済制裁を強化したからこそ、イランは真剣に受け止め交渉の場に引き戻すことになった」と述べ、制裁強化が、イランの核兵器の開発を断念させ、最終合意につながったと主張し、北朝鮮に対しても、制裁の手を緩めるべきではないという考えを強調しました。

中国外務省 抗議か

外交筋によりますと、中国駐在の北朝鮮のチ・ジェリョン大使は、10日午前、中国外務省に呼ばれたということで、中国政府が、9日の北朝鮮による5回目の核実験に対して抗議したとみられます。これについて中国外務省は、これまでのところ明らかにしていませんが、華春瑩報道官は、9日の記者会見で、北朝鮮の核実験について、「断固として反対する。中国外務省の責任者は、北朝鮮大使館の責任者に申し入れをする予定だ」と述べ、北朝鮮に対し直接抗議する考えを示していました。

ASEAN外相「深刻な懸念」

ASEAN=東南アジア諸国連合の加盟10か国の外相は10日、北朝鮮による核実験について、「国連安保理決議に違反するもので、深刻な懸念を抱いている」とする声明を発表しました。
声明は、「ASEANは、朝鮮半島の非核化を全面的に支持する。北朝鮮に対し、国連安保理決議に従うよう強く求める」としています。ASEANは、8日までラオスの首都ビエンチャンで開かれていた一連の首脳会議の中で繰り返し、北朝鮮の核・ミサイル開発に懸念を表明していました。