日本独自制裁強化へ 往来禁じる対象者拡大
政府は北朝鮮による5回目の核実験を受け、日本独自の制裁を強化する方針を固め、日本と北朝鮮との往来を禁じる対象者を広げる検討に入った。菅義偉官房長官は9日の記者会見で「北朝鮮に対して我が国が取るべき最も有効な手段を講じたい。さらなる独自制裁も考えていきたい」と語り、国連安全保障理事会での制裁強化の働き掛けとは別に独自の追加制裁に踏み切る考えを示した。安保理の議論も見据えながら検討し、国家安全保障会議(NSC)で正式に決定する。
政府は核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対し、北朝鮮籍船舶の入港禁止や現金持ち出しの届け出義務化、航空チャーター便の乗り入れ禁止などの独自制裁を段階的に科してきた。今年1月の4回目の核実験を受け、2月に独自制裁を強化。日本人拉致被害者の再調査開始後に解除した北朝鮮籍者の入国禁止などの制裁を復活させた。
この際、核やミサイルの技術に関する知識を持つ在日外国人と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部の日本への再入国を禁じる措置を取った。具体的な対象者について政府は公表していないが、今回の核実験を受け、政府はこの措置の対象を拡大する方針。自民党幹部は「出入国を繰り返している総連関係者は実際には数百人規模でいると言われる。これまで漏れていた総連関係者らが新たな制裁対象になる可能性が高い」と指摘した。【高本耕太】