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第一話
ついに解禁いたしました。
では、楽しんでください。
「たっいっしょっ!」
翔と話していた私よりも大きな背中に大きな声を出して驚かせてやろうと試みる。
「あ?」
振り返った大翔の顔はいつもどうりで全く驚いた様子もなく、ケロッとしている。
「こんのやろ」
聞こえないように小さく呟いてみる。
次は絶対に驚かしてやる。そう誓いながら次はどうしようかと考える。
「あれ?美羽」
大翔の背中から翔が顔を出した。相変わらず何しててもかわいいんだよな、この人。しかも天然っぷりがすがすがしい。
「どしたの」
なんかわからないけどいたずら心がうずいた。
「べーつにー。翔が大翔を好きにならないか心配でねー」
嫌味っぽくにやっと笑っていってみた。すると翔もにやっと笑った。
「いやいや、もうちょっと可愛いならまだしろ不愛想だかんね。大翔」
そしてちらっと大翔のほうを伺う。
「悪かったな、不愛想で」
大翔は私たちには背を向けて校舎のほうに歩きだした。
私は翔を目を合わせる。そして笑った。
「たーいしょー!」
翔が名前を呼びながら大翔に飛びついた。その衝撃に大翔の体が揺れる。
・・・やっぱ好きなんでない?
今聞いたら“うん好き”とか普通に言いそう。そう返されたら困るから言わずにいるけど。
「美羽」
「んー?」
「美羽は?」
ごめん。主語も述語もなかったから理解できなかった。理解しようと試みているけれど。
何が好き?とかそんなノリかな?一番好きなのは・・・。
「アイス」
それを聞いた翔の顔が間抜けなものになった。
これは、答えを間違えたパターン。
よくある、よくある。
ブハッ!と噴出した翔を見て恥ずかしくなった。そんなに変なこと言ったかな?
翔の後ろで大翔まで肩を震わしている。
なんだ、ふたりして。
眉を少し寄せてみる。しかし、それに気づかないのかそれとも気づかないふりをしているだけなのか。
たぶん後者だが、どちらにしても私を馬鹿にしていることには違いない。
「部活終わったらアイスおごれよ!」
二人に交互に指をさしてからその場を逃げるように部室へと向かった。
まったく、グラウンドのほぼど真ん中でなんて恥ずかしいことをしてくれたんだ。
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