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【首都スポ】

慶応4番・正木、進化してセンバツだ 秋季高校野球神奈川県大会

2016年9月8日 紙面から

高校通算29本塁打の慶応・正木智也外野手=横浜市の同校グラウンドで(小原栄二撮影)

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 センバツ出場もかかる秋季高校野球神奈川県大会は10日から3回戦に入る。夏の大会で準優勝の慶応は、レギュラーのうち5人が残って逆襲の秋。初戦の関東学院戦では4番の正木智也外野手(2年)が2本塁打。悔しい夏を経験して心身ともにスケールアップした主砲に、スーパー1年生も加わった“若き血”たちが、神奈川県勢としては3年ぶり、チームとしては2009年以来となるセンバツを目指す。

 負ければセミが鳴いているうちに秋が終わる。自校グラウンドで4日に行われた秋季神奈川県大会初戦、関東学院戦。1−3で迎えた7回2死満塁。追い詰められながらも、慶応の森林貴彦監督(43)は主砲を信じて見つめていた。「野球の神様がチャンスをくれたなぁと思いながら、ちょっと楽しくみていました…」。右バッターボックスには、夏も4番だった正木がいた。

 1カ月前の7月31日、横浜スタジアム。横浜との決勝。7回に0−8から3点を返してなお2死満塁でバッターは正木。東海大相模戦、桐光学院戦とホームラン、長打で雰囲気を一気に変えられるスラッガーに対して、石川は直球攻め。カウント2−2からの5球目、真ん中の直球を見逃して三振に倒れた。「変化球を狙っていました…。手が出ませんでした」。森林監督は、大きく育ってほしいゆえ、あえて厳しい言葉をかけた。「あの見逃し三振を絶対に忘れるな、あれを背負って生きていけ」

 そして、秋の初戦で巡ってきた2死満塁。1ボール2ストライクからファウルで粘って暴投を誘い、フルカウントから2打席連続となる3ラン。見逃しストライクはなかった。「あの打席を絶対に忘れないようにやってきました」。振って、振ってトラウマも振り払った。この試合で打った2本とも右方向だったのも収穫。「練習した通りに押し込んだ。これからは厳しい球ばかりが来る。それを自分のタイミングで仕留めていかないといけない」

 チー厶全体で10年ほど前から五輪メダリストも通うジムのトレーナーの指導を受けウエートトレーニング。夏の大会中は中断していたが、この夏は継続したのも準優勝にもつながった。夏のベンチ入り選手のかなりが残る新チームは、他校のマークの対象だが「準優勝の銀メダルは先輩たちが取ったもの。自分たちは弱いと思っています。チャレンジャーの気持ちでいかないと足をすくわれます」と正木は気を引き締める。

 優勝した横浜は甲子園で履正社(大阪)に負けた。「あの打線が打てなかった。全国のレベルは高いと思った。ああいう投手を打てるように仕上げていかないといけない」。神奈川屈指のスラッガーがフルスイングで甲子園への道を切り開く。 (小原栄二)

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