蹴球探訪
奇跡の初優勝見えた レスター・岡崎が激白「試合後はいつも悔しい」(4月27日)
【サッカー】タイに2−0快勝 ハリル監督の解任危機回避2016年9月7日 紙面から
◇ロシアW杯アジア最終予選B組 日本2−0タイ【バンコク占部哲也】解任危機は免れた。日本は2−0でタイを破って2戦目の初勝利。バヒド・ハリルホジッチ監督(64)が逆転負けした第1戦のアラブ首長国連邦(UAE)戦から入れ替えた先発3人のうち、FW原口元気(25)=ヘルタ=が前半19分に、FW浅野拓磨(21)=シュツットガルト=が後半30分に得点する、采配ズバリの快勝となった。0%だった「最終予選突破率」は29%に上昇!?とはいえ、まだまだ厳しい戦いが続く。 ハリルホジッチ監督の白い半袖シャツは冷や汗と雨を吸っていた。勝利の瞬間、ベンチで握手し、白いタオルを首に掛けた。「この試合は心理的に難しかった。勝利はよかったが、こんなに決定機をつくったので、もっと(得点を)取れたと思う」と次戦に向けた課題を口にしつつも、表情は晴れやかだった。 初戦で敗れた1日のUAE戦から先発を3人入れ替え。21歳のFW浅野、25歳のMF原口と山口を起用。速さ、球際のアグレッシブさ、走力を加えた。その原口と浅野が得点。「経験がある選手と若い選手を競争させたかった」という采配が生きた。 試合前日会見。指揮官の声にいつもの張りはなかった。「この試合で勝利を探しに行く用意ができている」。そう言ったが、言葉にほとばしる熱はない。1998年フランスW杯アジア最終予選以降、黒星発進のチームのW杯出場確率は0%。いきなり、徳俵に足を掛けた。連敗すれば解任論が浮上する。修羅場の一戦。それでも、前日までは覇気がなかった。 だが、ベンチに入ると、スイッチが入った。主将の長谷部が「元気がなかった」という姿は消えた。白いタオルをふり、右足で地面をたたきつけた。前半28分に森重が遅延行為で警告を受けるとピッチに入らんばかりに前に出て、主審を呼び付けた。プレー中も第4の審判と額を突き合わせ口論。「私は負けるのが大嫌い」という熱血漢が戻ってきた。タイの大観衆の熱気に負けず劣らずヒートアップした。 1点リードで迎えた後半は、ベンチに腰を下ろした。だが、後半26分のGK西川がシュートを顔面ブロックした時には思わず腰を浮かせた。「タイのプレーは分析して知り尽くしている」。全て把握しても、ピッチでの結果が全て。最も欲した勝利をやっと手にした。 選手個々はまだ理想とするコンディションにはない。UAE戦の結果には「がっかりしている」と本音も出た。だが、裏を返せばまだ伸びしろがあるということ。険しさを増す今後の戦いに向け、手にしたタクトが休むことはない。 (占部哲也) PR情報
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