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EU離脱、日本の要望書が話題に

 【ロンドン坂井隆之】英国の欧州連合(EU)からの離脱について、日本政府がまとめた要望書が英国内で反響を呼んでいる。英国にEU市場との一体性継続を求め、受け入れられない場合は日系企業の移転の可能性を警告する異例の厳しい内容のためだ。日本企業は英国内で多くの雇用を抱えるだけに、英メディアは「メイ政権に事態の困難さを突きつけるもの」(英紙フィナンシャル・タイムズ)などと、こぞって報じている。

     要望書は内閣官房、外務、経済産業など関係省庁で作る「英国のEU離脱に関する政府タスクフォース」が企業への聞き取りを基に英文15ページにまとめ、2日に公表した。

     要望書は「日系企業は欧州全体で44万人の雇用を生み出し、そのかなりの部分が英国に集中している」と地元経済への貢献を強調。「交渉の行く末が見通せず、ぎりぎりになって明らかになるのは望ましくない」と指摘し、早期に新たな英・EU関係の全容を示すよう求めた。

     また、具体的要望として、英・EU間の現行関税率の維持や、英国で取得した銀行免許がEU域内のどこでも通じる「シングルパスポート」の継続、労働力確保のため現行の移民制度の維持も求め、「悪影響を最小化するよう責任ある対応を願う」と強く注文した。

     離脱交渉を巡っては、移民制限のためにはEUとの経済関係悪化もやむを得ないとする強硬派と、単一市場残留を優先する協調派に政府・与党内部も二分しており、メイ首相は交渉方針を示せていない。それだけに英メディアは「他国も日本に追随することを官邸は懸念」(ガーディアン)▽「前例の無い介入」(デイリー・テレグラフ)など、メイ政権への圧力が強まると受け止めている。要望書についてメイ首相は5日の記者会見で、「英国にとって野心的で最良の合意を目指す」と従来の見解を述べるにとどめた。

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