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詳細は下記。
→ 米で特許 再現成功で「常温核融合」、再評価が加速:日本経済新聞
たいしたものだ、と思ったが、これを読んでも理解できない人が多いようだ。特に、はてなブックマーク では、これをトンデモの一種と見なす人が多い。「低温で核融合ができるわけがないだろう」というふうに。しかし、これは勘違いだ。
そこで、以下では簡単に説明する。
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第1に、これは「常温核融合」が唱えられたころの「核融合」ではない。「核変換」と見なされる。具体的には、次のような元素の変換だ。(数字は原子番号)
パラジウム46 → 鉄26、クロム24、チタン22、カルシウム20
原子番号が小さいものになるのだから、これは、核融合というよりは核分裂に近い。ただし、いわゆるウラニウムの核分裂とはまったく違う。次の形だ。
パラジウム46 → 鉄26 + カルシウム20
パラジウム46 → クロム24 + チタン22
きちんと釣り合いが取れているので、核分裂と見なしてよさそうだ。
ただし、ウラニウムの核分裂との混同を避ける意味では、「核変換」と呼ばれるのが妥当かもしれない。
ともあれ、通常の化学反応のように、元素が変化しないのではなくて、元素が変化するのだ。ただし、その過程は、原爆のような大規模なものではない。
これを比喩的に言うと、こう言える。
「燃焼のかわりに、触媒によってゆるやかに発熱しながら酸化していく」
たとえば、水素と酸素は、火を付けると一瞬で爆発する。しかし、触媒を使えば、水素と酸素がなだらかに結びつきながら、電気エネルギーを発生させつづけることが可能だ。(これが燃料電池だ。)
同様のことが、核分裂でも起こる、と考えるといい。ウラニウムの核分裂は一瞬で起こるが、そのかわりに、パラジウムに触媒を当てると、パラジウムが(発熱しながら)なだらかに核分裂していく。そう考えればいい。
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実は、以上のことは、研究の当初からとっくに判明していた。
ただし、それがなかなか公認されなかったのは、実験に安定性がなかったからだ。パラジウムをいい加減に突っ込んでも、うまく行くこともあり、失敗することもあり。……際限が確実になる方法がわからなかった。
ところが、長年の研究の結果、安定的に発熱をさせることが可能となった。その方法は、こうだ。
その手法とは、以下のような仕組みだ。円筒形のチャンバー内にワイヤー状のパラジウム電極を2つ配置し、その周囲をニッケル製メッシュで囲む。この状態で、電極に高電圧をかけて放電処理した後、100〜200℃で加熱(ベーキング)処理する。この結果、パラジウムワイヤーの表面は、パラジウムとニッケルによるナノスケールの構造を持った膜で覆われることになる。
( → 米で特許 再現成功で「常温核融合」、再評価が加速 :日本経済新聞 )
つまり、パラジウムの表面に膜ができるようにする。このことで、反応が安定的に進むようになった。
要するに、「パラジウムの表面に膜をつくる」という画期的な方法を採用することで、見事に反応を安定化させて、インチキっぽかった実験を、再現性のある「科学」に変貌させたのだ。
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ではなぜ、膜を作るとうまく行くのか?
実は、そのことは、本サイトがとっくに予告していた。
「パラジウムの表面に薄膜を形成すれば、反応は安定的に進むだろう」
と。それは 2007年の記事だ。これだ。
→ 常温核融合の原理 (2007年05月08日)
ここに、次の記述がある。
(5) この現象が起こる必要条件は、次のことだ。
「トンネル効果が起こるほど、非常に薄い薄膜状態があること」
特に、(4) と照合すると、溶液または金属が薄膜ふうの状態であることが必要だ。(そこを、トンネル効果ふうの振動が伝わる。)
(6) この現象の再現性は高くない。なぜなら、(5) の条件を満たすことの再現性が高くないからだ。溶液または金属が薄膜ふうの状態になるのは、かなり偶然性に依存する。したがって、再現性はあまり高くない。再現性を高めるには、溶液または金属が薄膜ふうの状態になるように、うまく条件を設定する必要がある。特に、金属の純度や構造は重要である。純度が低かったり、金属の鍛造や鋳造の仕方が異なると、再現率はたちまち低下するだろう。
(7) この現象の再現性を高めるには、トンネル効果素子と同様に、薄膜を一定の厚さにすればいい。半導体加工技術のような、微細加工技術を用いて、一定の厚さの金属薄膜と、一定の距離の空隙をつくり、その空隙に溶液を満たす。……この場合、溶液は固体ではないから、通常の半導体加工技術はそのままでは使えない。加工はかなり難しくなる。それでも、そういう加工をうまく実現すれば、かなり安定した結果が得られるだろう。(バラツキがなくなるわけではないが、バラツキが統計的に安定するだろう。)
(8) この現象は、トンネル効果による現象であるから、非常に小さな領域で発生する。一般のトンネル効果は、1ナノメートルぐらいのスケールで発生するから、常温核融合もまた、同様のスケールで発生しているはずだ。
ここで「薄膜が反応のキモだ」ということを予想した。そして、その予想通りに、現在では薄膜によって反応を安定的に進めることに成功したのだ。
したがって、基本的には、2007年に私が予想したとおりになった、と言えるだろう。
( ※ 具体的な詳細まで述べたわけではないので、すべてを詳細に予想したわけではないのだが、基本的な原理的な点については、予想したとおりになったと言える。2007年から 2016年まで、10年がかりになったが。)
【 関連項目 】
原理の詳細は、2007年の項目を参照。そこに理論が記してある。
→ 常温核融合の原理 (2007年05月08日)
※ 基本的には、この反応は、トンネル効果によると推定される。
【 関連サイト 】
「常温核融合が起こったというのなら、ヘリウムが検出されなくてはならない。ヘリウムが検出されたことを実証しろ」
という意見があるが、これは勘違いだ。
この反応は、核融合ではなく、核分裂である。反応によって生じるものは、水素が核融合したもの(ヘリウム)ではなく、パラジウムが核分裂したものだ。それについては、すでに検出されている。
《 主な研究事例 》
北海道大学の水野忠彦、大森唯義は、1996年に、常温核融合の正体は原子核が他の原子核に変化する「核変換」現象だったという、当初考えられていた常温核融合に対する解釈とはまったく異なる内容の論文を発表している [12]。 これは反応により電極の表面にB,Si,K,Ca,Ti,Cr,Zn,Br,Pbなどの多くの元素が生成され、その同位体比率が天然のものと異なるというものである。これをフランスの研究者が再現テストを行い、その結果をインターネットで公開している [13]。 同様な核変換事例はアメリカ・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のジョージ・マイリー(en:George H. Miley)[14] など多くから報告されている。
( → Wikipedia )
これ、放射能除去装置になりますよね。
現時点では半減期をいじるには中性子をぶつけるとか、かなり大掛かりな装置が必要でしょうし、中性子源が原爆とか、何してんだ?という感じです。
しかしこの技術なら放射性元素を任意に核分裂で核種変換で非放射性元素に変換できそうです。
まさにイスカンダルのコスモクリーナー。
筑波の科学博の頃のゴルゴ13にもよく似た妄想技術がありましたから、多分できるんでしょう。
原理的にはともかく、実用化は難しそう。というのは、対象の純度が高い必要があるので、精製にすごく手間がかかるから。
汚れたもの(汚染物質)だと、難しそう。
というか、そもそも、対象はパラジウムに限られているし。パラジウムは超高価な貴金属なので、ここから核変換して鉄にすると、かえって経済的には大損するかも。黄金や白金を鉄くずにするようなもので。
※ 良く考えたら、錬金術に似ている。鉄を貴金属にするかわりに、貴金属を鉄にする。方向が逆なので、逆錬金術というべきか。
タイムスタンプは 下記 ↓
パラジウムのままだとラボで終わるかな?
パラジウムを求めて宇宙開拓とか始まったら楽しいけどw
>岩村特任教授
MHIの人ですね、二年以上前にも記事になってましたねー(棒)。
・放射性廃棄物の無害化に道? 三菱重、実用研究へ http://s.nikkei.com/1isaD5T 2014/4
・核のごみを無害化 「常温核融合」の遺産を利用 http://s.nikkei.com/2cJWCWc 2015/6
・「試験管内の太陽」 似非科学のレッテル外れ再び熱気 http://s.nikkei.com/2c4MKr0 2015/7
・米で特許 再現成功で「常温核融合」、再評価が加速 2016/9 ←New!
研究自体は素人から見るとほとんど変わり映えがないと言っていいんじゃないかなと思いますね。基礎研究ですからむしろ素人目ならそうなるのが当たり前くらいでしょうね。
今回は特許取得を機に記事化した形を取っていますけど、本文をよく読めば空虚な理由付けとわかりますね。
>米国特許庁は2015年11月、凝縮集系核反応に関する米研究者からの特許申請を初めて受理し、特許として成立させた。
いつのことを今になって記事にしているんでしょうかね。まあ、?・遺産・再び熱気・再評価加速などがむしろ主題でしょう、いじましいですね。再評価加速でああまたかと思えるようになれば日経読者及第点ですね。
>blackshadow : この記事を書いている金子憲治という記者が相当常温核融合に入れ込んでいるみたいでぐぐると色々出てくる。この業界は常温核融合が起こるという一点以外は皆違うこと言ってる呉越同舟っぷりがヤバイ。 http://bit.ly/2ci38Sj
>powerbreathing : 東北大学+三菱重工+日本経済新聞+ベンチャー企業。繰り返し報道されていますが、話題先行が気になります。 http://bit.ly/2c6YRa0
日経以外から詳報出るようになってから気にすればいいと思いますね。
>伊藤客員准教授
この人も岩村さんと同じ。
ただ写真キャプションに笑うのは伊藤さんはクリーンプラネットの取締でもあるのでね。嘘は書いてませんけど、読者には合わせて報道するべきだとは思うんですがねー。
また、薄膜の形成が核心だ、ということにも気づいていない。
いくら文句を言っても、文句は何も発見することはできない。ただし発見を阻害することはできる。……そういうことに気づかないんだから、呆れるしかないね。そんなに他人の足を引っ張りたいのか。自分では何も発見できない人ほど、他人の足を引っ張りたがる。
この研究がたとえ失敗しても、スズメの涙ほどの研究費が無駄になるだけ。理研では莫大な研究費を利根川所長一人が勝手に専決処分で浪費しているのに比べれば、はるかに軽微な額だ。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435850560.html
一方、この研究が結実すれば、世界の原子力政策は一変する。ウラニウムによる原発はすべて消えてしまって、かわりにパラジウムによる原発ができる。放射能の問題もなく、安全な原発ができる。核融合が遠ざかった今、世界のエネルギー政策が一変する可能性がある。
これほど巨大な可能性のある科学分野は、他に一つもない。なのに、最低限の研究費を惜しむなんて、何を考えているんだか。今の理研所長みたいに(たとえ研究が成功しても無意味であるような)下らない無駄研究に超多額の浪費をするのがそんなに楽しいか?
研究というものは、成功すればいいというものではない。成功したときに何が達成されるか、を知ることが大切だ。その重要性も考えないまま、「成功の確実性が低い」なんて馬鹿げたことを主張するのは、(研究者になり損ねた秀才ばかりが集まった)ニセ科学批判者ぐらいだろう。こういう連中の頭からは、iPS 細胞みたいに科学常識に反する発見は、決して生まれないのだ。
→ http://www.asahi.com/articles/DA3S12552444.html
https://news.nifty.com/article/technology/techall/12177-08222v/
http://wired.jp/2013/01/23/deep-space-asteroid-mining/
核分裂と言ってみたり、核融合と言ってみたり、意味がよくわかりませんね。興奮されていませんかね? 落ち着いて文章を書いてもらいたいですね。
わたしのコメントのどこで常温核融合を否定しているのでしょうかね? 誤読して変なレッテルを貼らないでくださいね。「無知も極まれり。」とかふつう使わない言葉ですね。興奮せず落ち着いてほしいですね。
理研とか急に持ち出されても困ってしまいますね。関係ありませんからね。