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たった一言で「数億円」の経費を削減した孫正義氏の「言葉力」とは?

ダイヤモンド・オンライン 9月10日(土)11時0分配信

 ビジネスリーダーの武器は言葉だ。国内最強の経営者のひとり孫正義氏も、強烈な言葉で社員を動かし、社会を動かしてきた。なぜ、彼の言葉には、あれだけのパワーが備わるのか? 
ベストセラー『社内プレゼンの資料作成術』の著者で、ソフトバンクで孫氏の「右腕」として活躍した前田鎌利氏と、神田昌典氏から「今後100年歴史に刻まれる名著」と評された『最強のコピーライティングバイブル』著者の横田伊佐男氏。11月2日に「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」で初響演する2人が、その秘密に迫った。(構成:前田浩弥)

● 「紙ゼロ」で億単位のコストを削減! 

 ――前田さんは孫正義さんのもとで働かれてきましたよね。孫さんはどのようなメッセージを発してきたのですか? 

 前田鎌利さん(以下、前田) 孫さんはひと言でいうと、「意思決定をする人」ですね。そして、常にシンプルで潔い。「やる」のひと言で、なんでも実行してしまう。
 一番印象に残っているのが、2012年の「社内業務ペーパーゼロ宣言」です。
 文字どおり「社内業務では紙を一切印刷するな」という指令ですね。
 当時はiPadが出始めた頃で、「それを全社員に支給しているのだから、すべてiPadを使いなさい。そしてプレゼンはすべてスライドで写しなさい」ということを、スパッとやったんですね。

 横田伊佐男さん(以下、横田) おお、一気にやったわけですね? 
 でも、ペーパーレスって、いざやるとなると、なかなか難しいものですよね。

 前田 ええ、でも、そこを孫さんは徹底したんです。
 強烈なメッセージを発していましたね。
「社内業務でペーパー、コピーは一切許さん。社内で紙を使う者はもう社員ではない」と。
 すごくないですか? (笑)。
 そして、各部署に対して例えば「この部署は、今月は5枚まで」と厳しい割り当てをしました。結果として数億円の経費削減につながりました。

 横田 へー! すごい! 

 前田 さらにすごいのは、そのコスト削減の成果を、取引している関連会社にもっていって、「ソフトバンクはここまでできたから、おたくもご協力をお願いします」と巻き込んだところなんです。
 取引先は紙ベースのところが残っていても、
「うちは紙ゼロなので協力をお願いします」
「印刷してペーパーを出せませんので、データでお渡します」
 と、巻き込んでいったのですね。
 そして、その企業のコスト削減にもつながった。
 もちろん、反発もありましよ。だけど、どんなに反発があっても、「やる」って言ったらやる。それが孫さんです。
 そして、そのために、短くて強烈な言葉を武器にされてましたね。

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最終更新:9月10日(土)11時0分

ダイヤモンド・オンライン

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